カレントテラピー 32-6 サンプル page 18/32
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カレントテラピー 32-6 サンプル
68 Current Therapy 2014 Vol.32 No.6574Ⅲ 国内外におけるrTMSの認可状況冒頭で述べたように,2014年2月現在,わが国では計4社のrTMSがうつ病の治療器として認可を目指している.米国でrTMSが初めてうつ病の治療器として認可されてから,うつ病患者や患者家族から早期導入の期待が高まるようになった.わが国でも,日本うつ病学会と日本生物学的精神医学会から,医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する要望書が厚生労働省に提出され,同検討会にて,rTMSの適正な使用を目的としたガイドラインの策定を条件に,Magventure社とMagstim社のrTMSが採択された.両者のrTMSは,もともと,中枢運動神経系の診断および神経伝達の基礎研究として使用され,国内でも,TMSによる中枢神経刺激の誘発筋電図検査として認可され保険収載されている.両者のrTMSは,その後,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:PMDA)の優先審査を受けて,海外の臨床試験の外挿による検証が行われたが承認には至らなかった.Neuronetics社のrTMSは,うつ病の治療器として開発され,2008年,米国FDAが,1剤の抗うつ薬による適切な薬物療法に反応しないうつ病患者に対して認可した.イスラエルのBrainsway社が開発したrTMSもまた,2013年1月にFDAから認可されている.Neuronetics社とBrainsway社のrTMSは,どちらも検査器としては国内未承認の医療機器である.rTMSの検査器,うつ病の治療器としての承認状況を表に示す.なお,カナダ保健省(HealthCanada)は,rTMSをうつ病の治療器として承認しているが機種ごとの認可ではないことに留意されたい.記載事項については,直接,製造会社に問い合わせたほか,国内の承認状況については,インターリハ(Magventure),ミユキ技研(Magstim),アットウォーキング(Neuronetics),センチュリーメディカル(Brainsway)にそれぞれ確認した.Ⅳ わが国への導入に関する課題現在,日本精神神経学会のECT・rTMS等検討委員会において,Magventure社とMagstim社のrTMSを先進医療として申請するか,もしくは,医師主導治験として二重盲検ランダム化試験を実施し,その有効性と安全性を改めて評価することが検討されている.昨今,臨床研究の不正に関するメディア報道も散見されるため,質的担保を伴うデータの蓄積が肝要であり,rTMSの知識や経験が十分な医療機関が参加するとともに,厳格なデータの管理や解析が求められることは言うまでもない.さらにrTMSの刺激条件は,現在のものが最適ではないことも強調しておきたい.例えば,Magventure社,Magstim社,Neuronetics社のrTMSでは,左前頭前野を刺激部位とし,刺激強度120%MT,刺激頻度10Hz,刺激時間4秒,刺激間隔26秒,1日に計3,000回表 反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の国内外の承認状況製造会社rTMS 検査器治療器*1 備考Magventure(Denmark)MagPro DepressionTherapy System国内外とも承認*2CE取得,オーストラリアで承認早期導入に関する検討会で採択*3Magstim(UK) Magstim Rapid2 国内外とも承認*2 CE取得早期導入に関する検討会で採択*3Neuronetics(USA)NeuroStar TMSTherapy System国内外とも未承認CE取得,米国,韓国,アラブ首長国連邦で承認薬事承認の審査申請中Brainsway(Israel)Brainsway DeepTMS System国内外とも未承認CE取得,イスラエル,米国で承認薬事承認の審査申請中2014年2月のrTMSの承認状況を示す.*1:うつ病を適応としたCE取得,承認を示す.*2:国内ではMagventure社とMagstim社のrTMSは中枢神経刺激の誘発筋電図検査として承認されている.*3:医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する要望書が厚生労働省に提出され条件付きで採択された.わが国では,Neuronetics社とBrainsway社のrTMSが海外臨床試験の外挿による薬事承認の審査申請中である.