カレントテラピー 32-5 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.5 9423Ⅱ 2010 ACR/EULAR新分類基準作成のプロセス新分類基準の作成はACRと欧州リウマチ学会議(EULAR)から組織された合同のワーキンググループにより,三段階のプロセスに分けて行われた.第一段階では関節炎を説明し得るRA以外の潜在的疾患のエビデンスがない早期関節炎のコホート(9つのコホート,計3,115人)のデータを解析し,単変量回帰モデル,主成分分析,多変量回帰モデルにより,1年以内のMTX開始を予測する独立した因子が抽出され,その重み付けが行われた3).第二段階では,専門家が実際の症例におけるRAの可能性について順位づけを行い,さらにコンセンサスに基づきRAの発症確率に重大な影響を与えると考えられる臨床的因子および臨床検査値が決定され,その相対的な重み付けが1000Mindsコンピュータープログラムを用いた対話型・反復プロセスにより求められた4).第三段階では第一・第二段階の結果を統合し,分類基準に含まれるべき項目とその項目ごとのスコアが実用にふさわしいように最適化され,分類基準のためのスコアリングシステム最終案がつくられた.さらに,definite RAと分類するためのスコアリングシステムのカットオフ値が設定され,第二段階で使用された症例や,第一段階とは別の3つの早期関節炎コホートにおける妥当性が確認された.Ⅲ 2010 ACR/EULAR新分類基準2010 ACR/EULAR新分類基準を表1に示す.新分類基準を適用するには,一カ所以上の関節腫脹(変形性関節症がみられやすいDIP関節,第1MTP関節,第1CMC関節を除く)を有し,ほかに関節炎の原因として説明可能な疾患がない,つまり鑑別診断について十分な検討を行っていることが前提である.なお,鑑別すべき疾患について新分類基準では全身性エリテマトーデス,乾癬性関節炎,痛風が例として挙げられているが,それ以上の詳細についてはあえて触れられていない.これは地域や状況により鑑別疾患のスペクトラムが大きく異なる可能性があるためである.日本リウマチ学会は,日本人を対象にした早期関節炎患者コホートのデータを解析して作成した新分類基準使用時のRA鑑別診断難易度別リストを公開しており(表2)5),本邦においてはこれが参考になる.ただし適切な診断および治療のためには膠原病・関節炎診療の十分な経験が必要であり,早期関節炎患者が非専門医を受診した場合には,専対象1)2)少なくとも一カ所の臨床的な滑膜炎(関節腫脹)があるその滑膜炎を説明できる他の疾患がないスコアA~Dのカテゴリーの合計点数が6点以上でdefinite RAと分類されるA. 罹患関節数(腫脹または圧痛関節数)1個の大関節*2~10個の大関節1~3個の小関節**4~10個の小関節10関節を超える(少なくとも1つは小関節を含む)***01234B. 血清学的検査†リウマトイド因子,ACPAともに陰性リウマトイド因子弱陽性,もしくはACPA弱陽性リウマトイド因子強陽性,もしくはACPA強陽性023C. 急性期反応物質‡CRP,ESRいずれも正常値CRP,ESRのいずれかが異常値01D. 症状の持続期間§6週間未満6週間以上01表12010 ACR/EULAR新分類基準*大関節は肩,肘,股関節,膝,足関節を含む.**小関節はMCP関節,PIP関節,第2~5MTP関節,第1IP関節,手関節であり,DIP関節,第1CMC関節,第1MTP関節は含まない.***少なくとも一カ所は小関節でなければならないが,他の関節は大関節・小関節・特に記載のない関節(例えば顎関節,肩鎖関節,胸鎖関節など)を問わない.†陰性はIU値の正常値上限以下,弱陽性は正常値上限を超えるが,その3倍以下,強陽性は正常値上限の3倍以上.リウマトイド因子が定性の情報しかなく,陽性の場合は弱陽性とする.‡正常/異常は個々の施設の基準値による.§症状の持続期間は,分類基準を適用した時点での関節炎のある関節の症状・所見(疼痛,腫脹,圧痛など)の患者の報告に基づく持続期間.