カレントテラピー 32-4 サンプル page 6/30
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カレントテラピー 32-4 サンプル
Current Therapy 2014 Vol.32 No.4 9325ヒト胎生期の膵で最初に登場するのはソマトスタチン含有(δ)細胞と膵ペプチド(pancreatic polypeptide:PP)含有細胞である.これらは妊娠7週以降,導管内に散在してみられる.その1週後(妊娠8週以降)グルカゴン含有(α)細胞が出現する.妊娠9週以降初めてインスリン(β)細胞が出現し,10週以降にはC-ペプチドやプロインスリン分子も検出される.ヒトと異なり,マウスではインスリン,グルカゴンが最初に発現し,次にソマトスタチンとPPが発現する.このほか,胎生期にはガストリン,GIP,セロトニンなど他の多くのペプチドもみられるという.2 β細胞の生後の発達β細胞の新生のピークは出生直前から出生後2年以内までにある.その後はβ細胞の増殖はほとんど観察されない.出生後のα細胞とδ細胞の増殖はまれで,導管上皮の増殖や外分泌組織の拡大に伴い周期的にわずかに出現する.β細胞対α細胞比(β/α)は増殖の主体がβ細胞を示すように新生児期に2倍となる.小児期には,β細胞対δ細胞比(β/δ)は7倍の変化を示し,δ細胞の消失が起こっていることを示している2).Meierらによると,ヒトβ細胞の発達は,生後のβ細胞の再生能に大部分が依存しているという3).彼らは,生後から成人までβ細胞量は数倍以上まで増えるが,これは膵島の数の増加よりも,膵島内の細胞増加,すなわち膵島サイズの増大によるとしている.また,β細胞の増殖能は幼児期で高く,成人になるにつれて減少するとしている.既存のβ細胞からの複製がその主要な機序であり,β細胞量の増加の時期と複製の時期が一致しているとしている.彼らの観察によると成長に伴うβ細胞の複製は,導管周囲から離れていったん分化したβ細胞それ自体導管上皮腺房④分化転換膵島(外套膵島)膵導管外分泌(腺房)②膵島内未分化細胞③膵島内分化β細胞β細胞①前駆細胞α細胞図1膵島細胞の発生と分化胎生期には膵導管から連続して前駆細胞より外分泌部に膨出して,α細胞,δ細胞を中心に発達する(①).次第に増大し,導管と非連続性の膵島(外套膵島)を形成する(下左).生後の発達は膵島内未分化細胞からのδ, α, β細胞への分化が主体となり(②),成長に伴い,大半がβ細胞からβ細胞への複製が主となる(③).一方,いろいろな状況において外分泌腺房組織に隣接した小膵島も散在して出現する(中右).この場合,外分泌細胞からの分化転換transdiffer -entiationの可能性も高い(④).