カレントテラピー 32-4 サンプル

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76 Current Therapy 2014 Vol.32 No.4392CD26 とDPP-4獨協医科大学内科学(内分泌代謝)主任教授 麻生好正CD26 はT 細胞表面抗原として同定された分子であり,特に活性化されたT 細胞でその発現が強く誘導される.またCD26 はT 細胞以外にも胸腺細胞,B 細胞,NK 細胞などの免疫細胞にも発現している.Dipeptidyl peptidase-4(DPP -4)は細胞膜上に2量体として存在するセリンプロテアーゼで,細胞表面マーカーCD26 と同一分子であることが知られている.CD26/DPP-4は766アミノ酸残基からなり,N 末端が細胞質内に存在するⅡ型の1 回膜貫通型蛋白である.一部,細胞質および膜貫通ドメインを欠いた可溶型(solubleCD26/DPP -4)が血液など体液中に存在している.CD26/DPP-4の構造の特徴として,細胞内ドメインは6残基と短く,膜貫通ドメインが24残基,残りが細胞外に存在する.可溶性CD26/DPP -4 はN 末端39 番目のセリン残基で切断された40~766 残基からなる.細胞外には主に3つのドメインがあり,種々の基質を分解して不活化するcatalytic lesion,アデノシンディアミナーゼ(adenosine deaminase:ADA),細胞外マトリックス,caveolin -1などと結合するcysteine -rich lesion,そして糖鎖修飾を受けるglycosylated lesion から構成されている.CD26/DPP -4 は細胞表面ぺプチダーゼでもあり,基質のN末端からの2番目のプロリンあるいはアラニンのC端側を切断する.標的基質としては,GLP-1,GIPなどのインクレチン,神経ペプチド,ケモカインなどが知られている.CD26/DPP -4 の存在部位であるが,ほぼ全身の組織に普く発現しているものの,特に,腎,肝,小腸で発現が高い.また,最近,脂肪組織での発現も報告された.細胞レベルでも種々の細胞に発現しているが,上述したT 細胞などの免疫細胞,血管内皮細胞(特に,毛細血管,静脈),上皮細胞などに発現が高い.可溶型は40~766 残基からなり,3 つのアクティブドメインを有しており,膜型と同様の作用(酵素活性を含め)を発揮する.インクレチンはホルモンであり,血液中を循環し作用していることから,血中に存在する可溶性CD26/DPP -4 もインクレチンの分解に大きく関与することが考えられる.血中可溶性CD26/DPP -4 の意義はいまだ明らかではないが,その高値は血中のDPP -4 活性をほぼ反映している.2型糖尿病患者,高度肥満者,非アルコール性脂肪性肝炎(non -alcoholicsteatohepatitis:NASH)などの肝疾患患者での有意な濃度の上昇がみられ,その上昇はインクレチンの分解亢進のみならず,インスリン抵抗性の発症にも関与している可能性がある.われわれも血中可溶性CD26/DPP -4 高値の2 型糖尿病患者では,DPP-4阻害薬であるシタグリプチンの効果が減弱することを報告した.今後,膜型CD26/DPP -4,血中可溶性CD26/DPP-4の糖代謝のみならず,免疫系,癌(増殖),炎症,動脈硬化症等への影響が明らかにされることを期待している.DPP-4 阻害薬登場後の糖尿病治療の変化