カレントテラピー 32-4 サンプル

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74 Current Therapy 2014 Vol.32 No.4390おける安全性に懸念があるとして,開発中止が発表された.その他,現在JTT -851が第Ⅱ相試験進行中であり,有効性や安全性に関するデータが待たれている.2 GPR119作動薬GPR119は,2002年にオーファンGPCRとして同定され,膵島および膵β細胞株に高発現することが明らかにされた.GPR119はオレイルエタノールアミド(oleylethanolamide:OEA)などの脂肪酸誘導体によるインスリン分泌作用を媒介することが報告され,OEAは摂食抑制との関連が知られていたことから,その臨床的意義が注目されていた.GPR119はGsαに共役しており,受容体の活性化は,cAMPの産生,PKAおよびEpacの活性化につながり,インスリン分泌を促進させる.また,GPR119は,腸管内分泌細胞にも存在するため,小腸からのインクレチン分泌にも関与していることが明らかとなっている.GPR119作動薬の膵β細胞直接作用については,低分子アゴニストのAR231453を用いた検討では,膵β細胞株およびマウス単離膵島において,グルコース応答性インスリン分泌促進作用が認められた18).また,腸管内分泌細胞への作用については,AR231453が小腸L細胞モデルであるGLUTag細胞においてcAMP上昇を介してGLP-1を上昇させ,さらにマウスへの投与でGLP -1やGIP濃度が上昇することが確認された.GPR119作動薬の臨床成績として,GSK1292263は2型糖尿病患者を対象とした第Ⅱ相試験において,単回投与では血糖低下作用を認めたが,2週間の反復投与後にはその作用が消失したことが報告されている19).一方,PSN821は2型糖尿病患者への2週間の反復投与後に空腹時血糖と体重の低下を認めたことが報告された20).現在,日本および海外において複数のGPR119作動薬の第Ⅱ相試験が進行中であり,有効性や安全性に関するデータが待たれる.Ⅴ おわりに2型糖尿病患者の増加に伴い,糖尿病治療薬においてもインスリン製剤はもとより,SU薬,ビグアナイド薬,αグルコシダーゼ阻害薬,グリニド薬,チアゾリジン誘導体,DPP -4阻害薬をはじめとするインクレチン関連薬など多様化が進んでいる.糖尿病の病態に応じた治療薬選択の幅が広がり,一定の効果は得られているが,糖尿病を専門とする医療機関においても,細小血管障害の発症,進展防止に必要な血糖コントロール〔HbA1c(JDS値)6.5%未満〕を達成している症例は約4割であることが明らかとなっている.さらに質の良い血糖コントロールを達成,維持するために,本稿で概説した薬剤のほか,メタボリックシンドロームに着目したアディポネクチンやsirtuin作用の活性化など,さらなる新規治療法の開発の進展が期待されるが,その有効性,安全性に加えて,長期での臨床データを正確に解釈することが重要である.参考文献1)International Diabetes Federation, Diabetes Atlas, 5th ed.20112)Chao EC, Henry RR:SGLT2 inhibition- -a novel strategy fordiabetes treatment. Nat Rev Drug Discov 9:551-559, 20103)Rahmoune H, Thompson PW, Ward JM, et al:Glucose transportersin human renal proximal tubular cells isolated fromthe urine of patients with non-insulin-dependent diabetes.Diabetes 54:3427-3434, 20054)Ehrenkranz JR, Lewis NG, Kahn CR, et al:Phlorizin:areview. Diabetes Metab Res Rev 21:31-38, 20055)Strojek K, Yoon KH, Hruba V, et al:Effect of dapagliflozinin patients with type 2 diabetes who have inadequate glycaemiccontrol with glimepiride:a randomized, 24-week, double-blind, placebo-controlled trial. Diabetes Obes Metab 13:928-938, 20116)Ji L, Ma J, Li H, et al:Dapagliflozin as Monotherapy inDrug-Naive Asian Patients With Type 2 Diabetes Mellitus:A Randomized, Blinded, Prospective PhaseⅢStudy. ClinTher 36:84-100, 20147)Kurosaki E, Ogasawara H:Ipragliflozin and other sodium?glucose cotransporter -2(SGLT2)inhibitors in the treatmentof type 2 diabetes:Preclinical and clinical data.Pharmacol Ther 139:51-59, 20138)Terauchi Y, Takamoto I, Kubota N, et al:Glucokinase andIRS-2 are required for compensatory beta cell hyperplasia inresponse to high-fat diet-induced insulin resistance. J Clin