カレントテラピー 32-4 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.4 73治療薬解説389るGPCRが存在し,種々の生理的機能を発揮していることが明らかとなった.なかでも,膵β細胞に高発現しているGPR40およびGPR119は,グルコース応答性インスリン分泌に関与することから,低血糖リスクの少ない新規インスリン分泌促進薬の標的分子として期待されている.1 GPR40作動薬GPR40は,オーファンGPCRのリガンド探索により1997年に発見され,2003年にはそのリガンドが遊離中鎖,長鎖脂肪酸であることが報告された.GPR40は,膵β細胞にきわめて特異的に高発現しており,Gqαに共役し,遊離脂肪酸の結合による受容体の活性化はPLC経路の活性化,さらにPI3KやDAGの脂質代謝シグナルの増強を介して細胞内Ca2+濃度を増加させ,グルコース応答性インスリン分泌を増大させると考えられている(図4)14).一方,GPR40は腸管内分泌細胞にも発現しているため,GLP-1やGIPといったインクレチン分泌にも関与すると考えられている.遊離脂肪酸は急性投与では膵β細胞におけるインスリン分泌を促進する一方で,慢性投与では膵β細胞の機能低下や細胞死をまねき,いわゆる脂肪毒性を誘発する.両作用はともにGPR40を介しているが,膵β細胞にGPR40を高発現させても膵島の形態異常は認めず,グルコース濃度依存性のインスリン分泌増大による耐糖能の改善を認めた報告もあり,現在ではGPR40の脂肪毒性への関与は否定的とされている.GPR40作動薬の膵β細胞直接作用については,TAK-875を用いた検討において,膵β細胞株やラット単離膵島で,グルコース応答性インスリン分泌の促進を認めた15).また2型糖尿病モデルラットを用いたOGTTでは用量依存的なインスリン分泌に伴う耐糖能の改善を認めた.さらに,脂肪毒性の検討では,膵β細胞株を用いた検討で,TAK -875は脂肪毒性を誘導しないことが確認された.GPR40作動薬の臨床成績として,TAK-875は,米国の2型糖尿病患者を対象とした第Ⅱ相試験において,グリメピリド群と同等のHbA1c低下作用を認め,低血糖の発現頻度はプラセボ群と同等であった16).また国内での第Ⅱ相試験においても,TAK -875は50mg以上の投与群でグリメピリド群と同等のHbA1c低下作用を認めた17).その後,国内ではTAK-875が第Ⅲ相試験進行中であったが,2013年12月,肝臓にGPR40GlucoseGLUT2ERFuel metabolismPKCK+DepolarizationDAGPLCIP3PIP2PKAEpacGs-coupled GPCRGq-coupledGPCRcAMPATPAC +PIP3PI3KIRS1IGF1Ca2+InsulinGPR119[Ca2+]  ATP:ADP図4β細胞におけるGPR40およびGPR119を介したインスリン分泌促進メカニズム〔参考文献14)より引用改変〕