カレントテラピー 32-4 サンプル

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72 Current Therapy 2014 Vol.32 No.4388(Ca2+)を介したグルコース依存性のインスリン分泌を増強させることが明らかとなっており,また動物実験において,経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)後の肝グリコーゲン含量が有意に増加することが報告されている.また,膵β細胞のグルコキナーゼは,cyclic AMPresponse element-binding protein(CREB)のリン酸化を介したinsulin receptor substrate(IRS)-2の発現上昇により,インスリンシグナルを活性化させ,膵β細胞増殖に関与している8),9()図3).GKAは単離膵島におけるIRS -2の発現上昇およびINS -1細胞における増殖能亢進作用を示し,膵β細胞増殖に関与していることが示唆された10).また,グルコキナーゼは細胞死およびインスリン分泌を制御しており,GKAが膵β細胞のアポトーシスを有意に抑制することも報告されており11),膵β細胞保護作用を有していることが想定されている.3 GKAの臨床効果と副作用健常人および2型糖尿病患者において,GKAは空腹時血糖や食後血糖を低下させることが報告されている.GKAであるpiragliatinを,薬物治療を受けていない平均HbA1c 6.1%の軽症2型糖尿病患者に投与した報告では,piragliatinの投与により,用量依存的に空腹時およびグルコース負荷後の血糖値が低下した12).GKAの長期的な効果については,インスリングラルギンを使用中で血糖コントロールが不良な2型糖尿病患者を対象としたMK -0941(10, 20,30, 40mg)を用いた無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験が報告された13).投与開始14週の時点ではHbA1c,食後2時間血糖はプラセボと比較し,すべての用量で有意な低下を認めたが,投与開始30週まででこの血糖降下作用は消失してしまい,長期投与による有効性は認められなかった.また,GKAの主な副作用として低血糖が挙げられ,臨床報告においても低血糖頻度の増加が報告されており,低血糖を回避する投与法や対象患者の選択,薬剤の開発が課題となる.ヒトにおけるGKAの長期効果に関しては悲観的な結果が報告されているが,対象患者の罹病期間,残存している膵β細胞機能,試験プロトコール,または人種などによって効果や副作用が異なる可能性もあり,今後の慎重な検討が望まれる.Ⅳ GPR40作動薬,GPR119作動薬ゲノム情報に基づいたオーファンGPCR研究の進展により,遊離脂肪酸やその誘導体をリガンドとすSer133Glucose Glucose G6PNucleusGlp1Glp1rcAMPMitochondrionβCell ERVDCCCa2+Ca2+Insulin secretion lgf1P lgf1rCREBlnsrlrs2Pl3KPdpk1PKB/AktCaMKSurvivalFoxO1ReplicationGlut2 Gck図3GK,IRS-2を介したグルコース代謝・インスリンシグナルによる膵β細胞量の調節機構(仮説)〔参考文献9)より引用改変〕