カレントテラピー 32-4 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.4 69385Ⅰ はじめに糖尿病有病者数は食生活,運動習慣などの生活習慣の変化や高齢化に伴い,世界中で著しく増加しており,2011年の時点で世界の糖尿病有病者は3億6,600万人となり,2030年には5億5,200万人にまで達すると推計されている1).それに伴い糖尿病治療薬は多様化が進み,DPP -4阻害薬をはじめとするインクレチン関連薬が登場し,糖尿病治療にパラダイムシフトが起きつつある.本稿では,インクレチン関連薬に続く新規糖尿病治療薬として,臨床展開が期待されているSGLT2阻害薬をはじめ,グルコキナーゼ活性化薬,G蛋白共役型受容体(G -protein -coupled receptor:GPCR)であるGPR40およびGPR119作動薬について概説する.Ⅱ SGLT2阻害薬1 腎臓におけるSGLTの役割末梢組織のエネルギー源として利用される血液中のグルコースは,通常,腎糸球体で1日約180gがろ過され,その原尿中のグルコースのほとんどは近位尿細管で再吸収され,血中に再還流している.この近位尿細管におけるグルコース再吸収を調節する役割を担っているのが,Na共役能動輸送性糖輸送担体(sodium glucose co-transporter:SGLT)1, 2である.SGLTは,Na+ -K+ -ATPaseによる細胞内外のNa+の濃度勾配を利用し,Na+とグルコースの細胞内への取り込みを行っており,現在SGLT1~6までの6つのアイソフォームが認められている.小腸ではSGLT1が,食物から消化されたグルコース新規糖尿病治療薬でさらに進化する糖尿病治療田島一樹*1・寺内康夫*2*1 横浜市立大学附属病院内分泌・糖尿病内科助教*2 横浜市立大学附属病院内分泌・糖尿病内科教授DPP-4阻害薬登場後の糖尿病治療の変化近年,増加の一途をたどる糖尿病は,十分な管理がなされないと,患者の生活の質(QOL)と生命予後を脅かす血管合併症を引き起こす.糖尿病治療薬の多様化が進み,病態に応じた治療選択の幅が広がってはいるが,血管合併症の発症,進展防止に必要な血糖コントロールを達成できていない患者が多く見受けられる.そのため,膵β細胞のグルコース依存性のインスリン分泌とは独立して血糖を改善させる“SGLT2阻害薬”をはじめ,膵β細胞の増殖・保護作用が示唆される“グルコキナーゼ活性化薬”や,膵β細胞に高発現するG蛋白共役型受容体の“GPR40作動薬”および“GPR119作動薬”などの新規糖尿病治療薬が開発されてきた.その他にもアディポネクチンやsirtuin作用の活性化を目指した新規治療法などの開発が注目されている.新規糖尿病薬は,多様化する2型糖尿病に対応する重要なツールとして大きな役割を担うと考えられるが,その有効性,安全性に加えて,長期での臨床データを正確に解釈することが重要である.a b s t r a c t