カレントテラピー 32-4 サンプル

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44 Current Therapy 2014 Vol.32 No.4360よるGLP -1受容体の脱感作が関与する可能性が示唆される13).DPP -4阻害薬は,DPP -4を阻害して内因性の活性型インクレチン濃度を高めることを目的に開発された糖尿病治療薬である(図1).DPP -4阻害薬による活性型インクレチンの増加効果は約2~3倍と言われている14).野生型マウスとGLP -1/GIP受容体の両欠損マウスにDPP -4阻害薬を前投与して経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test:OGTT)を行った結果,野生型マウスでは,DPP-4阻害によるインスリン値の上昇と血糖の低下を認めたが,GLP-1/GIP両受容体欠損マウスでは,DPP-4阻害によるインスリン値の増加,および血糖低下作用が認められなかった15).以上の結果からDPP-4の耐糖能に対する影響は,GLP -1とGIPの2つのインクレチンが主体であることが判明した.欧州人を対象とした研究においてインクレチンによるインスリン分泌促進作用(インクレチン効果)は,健常者に比較して低下することが知られている.2型糖尿病患者において経静脈的にインクレチンを投与した報告では,GLP-1投与に対するインスリンの分泌反応は認められたが,GIPに対するインスリンの分泌促進作用は消失していた16).この2型糖尿病患者における膵β細胞でのGIPに対する反応性の低下の原因として,GIP受容体発現量の低下の可能性が考えられている.しかし,高血糖が改善した状態では,膵β細胞のGIPに対するインスリン分泌促進効果は回復することから8),DPP -4阻害薬は血糖が低下した状態ではGLP -1ばかりでなくGIPの効果で血糖改善に作用することが示唆される.また前述のようにGIPとGLP -1は膵β細胞上のGIP受容体,GLP -1受容体に直接作用してインスリンの分泌を促進するが,肝臓門脈周囲の神経終末にGLP-1受容体が存在し,迷走神経を介した間接的なインスリンの分泌促進経路も存在することが報告されている17).げっ歯類を用いた実験で血中DPP -4活性が阻害されない程度の低用量DPP -4阻害薬の投与でも門脈内活性型インクレチン濃度は上昇し,さらに血糖低下に作用することから18),血行を介したインクレチンの作用ばかりでなく,門脈血中の活性型インクレチン濃度の上昇もDPP -4阻害薬が血糖改善に働く重要な要素と考えられる.また最近ではDPP-4自体が脂肪細胞から分泌され,末梢臓器でのインスリン抵抗性に関与していることも報告されている(図4)19).ヒトの脂肪細胞ベースライン1311101214朝食前昼食前夕食前就寝前986726週リラグルチド1.8mg 1日1回エキセナチド10μg 1日2回自己測定血糖値(mmol/L)******朝食後90分昼食後90分夕食後90分図3GLP-1受容体作動薬(リラグルチドおよびエキセナチド24週間)治療後の血糖日内変動エキセナチドは,リラグルチドに比較して投与直後の朝,夕食後90分の血糖値を低下させる.***:P<0.001 vs. エキセナチド〔参考文献11)より引用改変〕