カレントテラピー 32-4 サンプル

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42 Current Therapy 2014 Vol.32 No.4358療薬と比較しても高い血糖改善効果が報告されている.またインクレチン関連薬によるグルカゴン分泌抑制効果は,インスリン分泌と同様に血糖依存性であることが報告されている8).以上から血糖値の低い状態ではインクレチン関連薬は,インスリン分泌促進作用ばかりでなく,グルカゴン分泌抑制作用が解除される.この作用が,インクレチン関連薬の単剤使用時の低血糖頻度がSU薬やインスリンと比較して非常に少ないことを裏づけている.Ⅲ DPP-4によるインクレチンの不活性化インクレチンであるGIPとGLP -1は,血中や血管内皮に存在するセリンプロテアーゼの一種であるDPP -4によって速やかに分解される9).DPP -4は,腎臓,腸絨毛,肝臓,血管内皮,T細胞,B細胞やナチュラルキラー細胞などの細胞膜に存在する膜蛋白で,生体内に広範に存在している.細胞膜上でDPP -4は,766アミノ酸で構成され,extracellulardomain(細胞外ドメイン),membrane domain(膜ドメイン),cytoplasmicdomain(細胞内ドメイン)からなり,extracellular domainは,cysteinerich regionとC -terminal catalytic regionから構成されている(図2a).DPP -4は膜上で,ホモダイマーまたは他のセリンプロテアーゼであるfibroblast activationprotein(FAP)/sepraseとのヘテロダイマーを形成している.またDPP -4は,extracellular domainの部分が切断され血中内でsoluble formとしても存在している.さらにDPP -4は,標的となる蛋白のN末端第二位にあるアラニンもしくはプロリンを認識し,N末端の2アミノ酸を切断する.in vivo での意義は不明であるが,in vitro などの検討からインクレチン以外の消化管ホルモンやケモカインなどがDPP -4の基質となる.活性型であるGLP-1(7-37),GLP-1(7-36)amideとGIP(1-42)は,それぞれ30, 29アミノ酸と42アミノ酸で構成され,GIPおよびGLP -1のN末端第一位が,ともにアラニンである(図2b).そのためDPP -4は,GLP -1とGIPのN末端第二位のアラニンを認識し,2アミノ酸が切断することにより,GLP-1(9-37),GLP-1(9-36)amideとGIP(3-42)は不活性型となる.栄養素の刺激により分泌されたGLP-1とGIPは,速やかにDPP-4により分解され,血中半減期はそれぞれ2分と5分と非常に短時間である.そのためインクレチンは,分泌直後から不活性化され,膵β細胞に到達する活性型のインクレチン量は,分泌された活性型インクレチンの10%程度と言われている(図2c)10).Ⅳ インクレチン関連薬の作用インクレチン関連薬には,GLP-1受容体作動薬とDPP -4阻害薬がある.両者は,生体内での作用機序やターゲットとなるホルモンなどさまざまな点で異なる(表).GLP -1受容体作動薬は,DPP -4によって分解されにくい構造を有しているため,ヒトGLP-1〔GLP-1(7-36)amide, GLP -1(7-37)〕に比較して長時間のGLP -1受容体刺激作用を発揮する(図1).また,投与後の血中濃度が非常に高いため,薬理学的なGLP -1作用を生体内で発揮する.特にGLP -1の食欲GLP-1受容体作動薬DPP-4阻害薬作用GLP-1受容体の直接刺激作用DPP-4活性阻害作用ターゲットGLP-1 消化管ホルモン(GLP-1, GIP, etc)GLP-1作用血中活性型様GLP-1↑(>>100pM) 活性型GLP-1の安定(正常の2~3倍)インスリン分泌??グルカゴン分泌? ?体重? ?食欲? ?胃排出? ?表GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の相違点