カレントテラピー32-3 サンプル

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12 Current Therapy 2014 Vol.32 No.3214収縮期/拡張期135/85mmHgと定義されている.この基準は欧米の調査や,わが国の前向き研究である大迫研究の結果を根拠としている1),2).ESC/ESH2013のガイドラインや他のガイドラインでも高血圧基準値は同様である.一方,正常血圧値については,各国のガイドラインで統一された見解はまだない(表4).表5に異なる測定法における高血圧基準を示す(この部分はJSH2014にも踏襲される予定である)1),2).本邦の家庭血圧測定の指針,JSH2014案では正常血圧基準を125/80mmHg未満とし,125/80mmHg以上と135/85mmHg未満は正常高値高血圧と定義されている.AHA/ASH/PCNAの声明でも,家庭血圧の降圧目標レベルは135/85mmHgと設定されている(図)10).本邦の家庭血圧測定の指針では,若年者,中年者の家庭血圧降圧目標レベルは,正常血圧の診断基準(125/80mmHg)に一致させ,また高齢者・脳血管障害患者の降圧目標レベルは家庭血圧の高血圧診断基準(135/85mmHg)に一致させていた2).JSH2014案では世界のガイドラインの流れも受けつつ,若年者,中年者,前期高齢者の家庭血圧降圧目標レベルは135/85mmHg未満,後期高齢者の降圧目標レベルは145/85mmHg未満で,忍容性があれば135/85mmHg未満とするという基準に緩和されている.また糖尿病,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)(蛋白尿陽性)の家庭血圧降圧目標値はJSH2009と同様125/75mmHg未満となる予定だが,脳血管障害患者,冠動脈疾患患者では135/85mmHg未満を目安とすることに変更される予定である.従来「診察室血圧-5mmHg」を暫定的な目安として家庭血圧の目標値としてきたが,大迫研究,HOMED -BP研究の観察研究結果から,一般高血圧(135/85mmHg未満),糖尿病合併例(125/75mmHg未満)などはエビデンスにより裏づけられる形になった.Ⅴ 白衣高血圧,仮面高血圧診察室血圧が140/90mmHg以上で家庭血圧が135/85mmHg未満であれば,白衣高血圧,逆に診察室血圧が140/90mmHg未満で家庭血圧が135/85mmHg以上であれば仮面高血圧と診断可能である.2011年のNICE/BHSガイドラインでは,高血圧の診断をするためにABPMを行うことを推奨し,ABPMが行えない場合にHBPMを行うことを推奨している12).NICEのガイドラインは作成段階における患者参加,患者の権利を尊重,医療経済分析との一体化を図っており,非高血圧患者(白衣高血圧)における過剰診断・治療を回避することも目標としている.同様に,ESC/ESH 2013ガイドラインにおいてもHBPMとABPMの有用性が強調されている(表5)13).本ガイドラインでは白衣高血圧,仮面高血圧の予後についても詳細に新しく記載されており,白衣高血圧のリスクは持続性高血圧より低いこと,診察室血圧上昇臓器障害家庭血圧24時間血圧血圧モニター継続治療開始ありなし<125/76 >135/85>125/76<135/85<130/80 >130/80図2008年米国心臓協会/米国高血圧学会/心血管予防看護協会(AHA/ASH/PCNA)の声明による管理区分〔参考文献10)より引用改変〕