カレントテラピー32-3 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.3 9211Ⅱ 臨床的意義と応用本邦の家庭血圧測定の指針,JSHでは,家庭血圧の臨床的意義として①再現性が良好,②診察室血圧より予後予測能が高い,③薬効,薬効持続時間の評価にきわめて有効であり,降圧薬治療による過剰な降圧,あるいは不十分な降圧を評価するのに役立つ,④テレメディシンへの応用が可能,⑤長期血圧管理を容易にする,⑥服薬アドヒアランス,受診アドヒアランスを高め,患者の治療継続率を改善する,⑦長期にわたる多数回の測定が可能であること,日内変動性の評価(夜間血圧の評価),日間変動の評価に加えて季節変動のような長期の血圧変動性の評価にも有用,⑧白衣高血圧,仮面高血圧の診断にきわめて有用,⑨朝の高血圧,深夜睡眠時血圧も装置によっては測定可能,⑩糖尿病,妊娠,小児,腎疾患における血圧異常の診断に特に重要,⑪医療経済効果が高いこと,が記されている1),2).同様に各国のガイドラインでも,家庭血圧は長期にわたる高血圧管理に適していることが述べられている.2008年ESH家庭血圧測定ガイドラインでも,家庭血圧測定の利点として①血圧と心拍数を多数回測定が可能,②日内,数日間,数週間,数カ月間の測定が可能,③日内およびより長い期間で薬効評価が可能,④白衣効果がない,⑤白衣高血圧と仮面高血圧の診断に有用,⑥再現性が高い,⑦予後予測能が高い,⑧比較的低コスト,⑨患者が受け入れやすい,⑩患者教育の材料として使いやすい,⑪データ保存,プリントアウト,PCダウンロードが可能,⑫コンプライアンス改善効果あり,⑬高血圧コントロール率が高いこと,を挙げている.他方,欠点としては,①血圧測定機種によっては患者のトレーニングが必要な場合がある,②不適切な器械を使用している場合がある,③測定エラーが生じることがある,④患者による報告であるため信頼性に乏しい場合がある,⑤不安が増し,過剰な測定につながる場合がある,⑥自己血圧測定により,患者が医師への相談なく処方変更する場合がある,⑦正常値や治療目標値に関して議論が依然ある,⑧通常の装置では夜間測定ができない,⑨ほとんどの国では保険適応となっていないこと,を挙げている11).2011年のNICEのガイドラインでは,診察室血圧に加えて24時間自由行動下血圧測定(ambulatoryblood pressure monitoring:ABPM)を優先して推奨しているが,ABPMが施行できない場合に家庭血圧を行うことが推奨されており,家庭血圧の医療経済効果が高いことが記されている12).また,日本のガイドラインとともにAHA/ASH/PCNA声明や2008年ESH家庭血圧測定ガイドラインでは,特に糖尿病,妊娠,小児,腎疾患の管理において家庭血圧測定(homeblood pressure monitoring:HBPM)が重要であることが記されている.表1に家庭血圧測定の指針,JSHに記載されている家庭血圧測定法の特性を示す.診察室血圧家庭血圧自由行動下血圧測定頻度低高高測定標準化可可不要再現性不良最良良白衣現象有無無薬効評価可適適薬効持続時間の評価不可可可短期変動性の評価不可不可可夜間血圧の評価*1 不可一部可*1 可長期変動性の評価一部可可不可グレー字の部分はJSH2014で一部表現が変えられる予定である.*1 夜間睡眠時測定可能な家庭血圧計が入手可能である.表1家庭血圧測定法の特性(一部改変)