カレントテラピー32-3 サンプル page 5/36
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カレントテラピー32-3 サンプル
8 Current Therapy 2014 Vol.32 No.3210Ⅰ 国内外のガイドライン日本高血圧学会は,家庭血圧が診察室血圧に比べて臓器障害をより強く反映するという臨床研究結果や予後をよく反映するという疫学調査結果などに基づき,2003年,『家庭血圧測定条件設定の指針』を世界に先駆けて発刊した.その後『高血圧治療ガイドライン2009』(JSH2009)のガイドラインを受け1),『家庭血圧に関する最新情報を集めた家庭血圧測定の指針(第2版)』が2011年に刊行された2).米国合同委員会第6次,第7次勧告(JNC -Ⅵ, JNC7)3),4),世界保健機関/国際高血圧学会(WHO/ISH)の高血圧ガイドライン5)等でも家庭血圧の重要性が強調されていたが,その後2005年に米国心臓協会(AHA)による血圧測定の勧告6),2005年欧州高血圧学会(ESH)による血圧測定の臨床ガイドライン7),カナダの教育プログラムによる血圧測定の勧告8),2007年ESH/ESC高血圧ガイドライン9),2008年米国心臓協会/米国高血圧学会/心血管予防看護協会(AHA/ASH/PCNA)の声明10),2008年ESH家庭血圧測定ガイドライン11),2011年のNICE/BHSガイドライン12),2013ESC/ESHガイドライン13),JSH2014(予定)において家庭血圧の指針が提示されている2).このように本邦のみならず,海外でも家庭血圧のガイドラインが続々と発表されており,近年その重要性が増している.以下,日本高血圧学会のガイドライン,家庭血圧測定の指針を基に国内外のガイドラインを対比したい.国内外のガイドラインにおける家庭血圧の位置づけ佐藤伸之*1・長谷部直幸*2近年,診察室血圧と並んで院外血圧(家庭血圧,24時間自由行動下血圧)が再現性,予後予測能,白衣高血圧および仮面高血圧の診断,血圧変動性の診断,血圧長期管理などの有用性の面から重視されるようになり,国内外のガイドラインにおいても大きな位置を占めるようになった.2014年4月に改定予定の日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン2014』(JSH2014)においても,高血圧診断における家庭血圧測定の意義がさらに強調される形になり,診察室血圧と家庭血圧の診断が異なる場合は家庭血圧の診断を優先するとの踏み込んだ文言が追加される予定である.本稿では,2008年米国心臓協会/米国高血圧学会/心血管予防看護協会(AHA/ASH/PCNA)の声明,2011年,英国国立医療技術評価機構(NICE)/英国高血圧学会(BHS)のガイドライン,2013欧州心臓病学会/欧州高血圧学会(ESC/ESH)ガイドライン,JSH2009およびJSH2014ガイドライン(案)などの国内外のガイドラインにおける家庭血圧の位置づけについて概説する.*1 旭川医科大学内科学講座循環・呼吸・神経病態内科学分野准教授*2 旭川医科大学内科学講座循環・呼吸・神経病態内科学分野教授家庭血圧―これからの高血圧個別治療へ