カレントテラピー32-3 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.3 87家庭血圧の新展開289sleep BP monitoring:TSP)(図2A)を開発した15).TSPには,各被験者の最低SpO2を逐次監視し,それに応じて閾値(血圧測定をトリガーするSpO2値)を時々刻々と変化させる可変閾値法(図2B)を導入した.これにより,重大な無呼吸を確実に捕捉するとともに,安眠の妨げとなる不必要な血圧測定を低減することが可能となった(図3)16).これまでに,入院時のSAS患者を対象とした検査において,同程度の無呼吸・低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)であっても,本血圧計を用いて検出したスリープサージには,著明な個人差があることを見出している17).また,このスリープサージは,経鼻的持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure:CPAP)あるいは,α遮断薬の就寝前投与で抑制されることが確認できている18).本装置の開発によって,従来の夜間血圧測定では不可能であった,睡眠時無呼吸に起因する循環器系ハイリスク患者の抽出とそれに対応した治療効果のモニタリングが可能となった.Ⅳ IT夜間家庭血圧測定システム(ISP)の開発と臨床応用これまで開発したTSPは入院を要することから,利用できる対象患者および日数には限りがある.入院検査では,過労や飲酒などで増悪する睡眠時無呼吸によるスリープサージを過小評価すること,また,世界的にも家庭血圧を用いた高血圧診療が重要視されつつあることから,本技術の家庭血圧測定への導入が急務である.そこでわれわれは第三のステップとして,TSPを家庭血圧計に応用した家庭用低酸素トリガー血圧計の試作機(自己測定装置)およびIT技術をベースとしたデータ管理システム(informationtechnology based, at-home trigger sleep BP monitoringwith a 3G web system:ISP)(図4)を構築し,スリープサージを含めた日々の夜間家庭血圧の状況を継続的かつ容易に収集・閲覧・評価することを可能にした17).システムの全体像を示す(図5).まず,医療施設において,自己測定装置に患者IDを書き込み,患者に装置を貸し出す.患者は自宅にて,血圧腕帯とパルスオキシメータのプローブを装着した状態で就寝時測定を行う.測定中は,終夜のSpO2を連続的に測定するほか,所定時刻(午前2, 3, 4時)と低酸素発現時に自動的に血圧が測定され,それぞれ血圧計メモリに一時的に記録される.なお,測定のタイミングは任意に設定可能で,例えばABPMのように30分ごとの測定も実施可能である.記憶された血圧および脈拍数とSpO2データは,起床時血圧測定の完了直後,自己測定装置に内蔵された通信モジュールによって携帯電話回線(FOMA回線)を介しサーバーに自動転送される.自動転送されたデータは患者ID別に保存され,インターネットを介して各施設のWEBアプリより閲覧することができる.また,WEBアプリは血圧データ閲覧機能のほか,患者データの登録機40608010012014016018020022019:00 20:00 21:00 22:00 23:00 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00102030405060708090100(時間)血圧(mmHg)/脈拍数(bpm) 酸素飽和度(%)酸素飽和度収縮期血圧脈拍数拡張期血圧178mmHg図3スリープサージの代表例〔参考文献16)より引用改変〕