カレントテラピー32-3 サンプル

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86 Current Therapy 2014 Vol.32 No.3288に血圧測定が実行される家庭血圧計(HEM-5041:Medinote)を開発し,その臨床的価値をJapan MorningSurge-Home Blood Pressure(J-HOP)研究において検証した11).対象は,高血圧や糖尿病などを罹患しているハイリスク患者854名で,Medinoteを2週間貸与し,夜間血圧測定(午前2,3,4時のタイマー測定)を最低2晩以上実施するよう指示した(平均測定晩数:8.9±4.3晩).また,平日のある一日にABPM(30分間隔測定)を実施し,就床から起床までに測定された血圧の平均をABPM夜間血圧として,夜間家庭血圧(午前2, 3, 4時血圧の平均)と比較した.さらに,これらの夜間血圧と臓器障害の指標〔尿中アルブミン/クレアチニン比(urine albumincreatinine ratio:UACR),左室心筋重量係数(leftventricular mass index:LVMI)〕との関連を検証した.その結果,夜間家庭血圧はABPM夜間血圧よりわずかに高値であった(差:2.6mmHg;p<0.001)が,夜間家庭血圧のほうがABPM夜間血圧よりも,より密接に臓器障害に関連していた(図1).以上から,家庭血圧計による夜間血圧は,ABPMによる夜間血圧の代用が効くことが示された.Ⅲ 夜間低酸素トリガー血圧計(TSP)の開発第二のステップは,治療抵抗性高血圧の主要因ともいわれるSASをターゲットとした夜間血圧計の開発である.国内罹患者数が数百万人とされるSASは,一晩に数百回にも及ぶ無呼吸発作時に急峻で甚大な血圧サージ(スリープサージ)を起こし,夜間高血圧や治療抵抗性高血圧を形成する重大な心血管危険因子である(治療抵抗性高血圧の64%が睡眠時無呼吸を合併するとの報告12)もある).また,心血管イベントは夜間から朝方の時間帯に多発することが知られている13),14)が,この著明なスリープサージがそのトリガーとなることが想定され,より正確なリスク評価のためにはスリープサージの計測がきわめて重要であると考えられる.しかし,前述のABPMや定時刻測定による夜間家庭血圧計では,無呼吸の時相に同期して血圧測定ができないため,この急峻な血圧変動を正確に測定できない.すなわち,リスクを過小評価する課題がある.そこでわれわれは,睡眠時無呼吸で引き起こされる夜間低酸素発作時の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下をトリガーにして,スリープサージを検出する夜間低酸素トリガー血圧計(triggerBP BP BP BP BP酸素飽和度BP :血圧測定ABオキシセンサーパルスオキシメータSpO2データインターフェース回路メモリトリガー制御部血圧/脈拍データ血圧計モジュール腕帯カフ可変閾値-10%トリガー信号PC図2夜間低酸素トリガー血圧計(TSP)A:システム構成図B:可変閾値法トリガーアルゴリズム〔参考文献16)より引用改変〕