カレントテラピー32-3 サンプル

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50 Current Therapy 2014 Vol.32 No.3252る.これに対し,減塩や利尿薬投与によりNa貯留を抑制することで,血圧の日内変動パターンもdipper型に改善されることが示されている26).ARBとして高用量のテルミサルタン80mg,あるいはテルミサルタン40mgとサイアザイド系利尿薬ヒドロクロロチアジド12.5mgの配合剤をクロスオーバーで投与して比較した結果では,外来診察時の血圧は同等であったが,図4に示すように,朝や夜の家庭血圧は高用量ARBよりARB+利尿薬配合剤のほうが低かった.このように,利尿薬によるNa排泄動態の改善はARBの降圧効果を高めるとともに持続時間を延長させ,仮面高血圧の治療に有効であると思われる.仮面高血圧のなかで早朝高血圧における昇圧には朝の時間帯の交感神経活動の増加が関係すると考えられており,就寝前にα遮断薬などの交感神経抑制薬を服用することが血圧上昇の抑制に有効であることが報告されている27).また,夜間高血圧から継続して早朝高血圧に移行する場合には,この時間帯におけるRASの亢進が関係することが推測されており,ACE阻害薬やARBの就寝前服用が病態改善に有効であることが報告されている28),29).そして,朝の服薬前は降圧薬の血中濃度や降圧効果が最も減少しやすい時間であり,降圧薬の1日2回服用などにより24時間にわたる十分な血圧コントロールを図り,仮面高血圧の血圧日内変動パターンを是正することが推奨される.Ⅴ おわりに高齢化が進行するわが国において健康寿命の延長を図るためには,高齢者の健康をおびやかす心血管疾患を抑制することが必須であり,その主要な危険因子である血圧の管理は重要な問題となる.また,高血圧治療の目標は単に血圧を正常化することだけではなく,心肥大,腎障害などの循環器系臓器障害や脳卒中,冠動脈疾患などの心血管疾患を抑制し長期予後を改善することである.この目的のためには,24時間にわたり厳格な血圧管理を行うことが必要である.すなわち,本稿で記述した仮面高血圧に対する適切な管理を実践し,高血圧治療の質を高める努力が広く行われることが望まれる.参考文献1)Marler JR, Price TR, Clark GL, et al:Morning increase inonset of ischemic stroke. Stroke 20:473-476, 19892)Muller JE, Tofler GH, Stone PH:Circadian variation andtriggers of onset of acute cardiovascular disease. Circulation79:733-743, 19893)Shimada K, Kawamoto A, Matsubayashi K, et al:Diurnalblood pressure variations and silent cerebrovascular damagein elderly patients with hypertension. J Hypertens 10:875-878, 19924)Verdecchia P, Porcellati C, Schillaci G, et al:Ambulatoryblood pressure. An independent predictor of prognosis inessential hypertension. Hypertension 24:793-801, 19945)Bobrie G, Chatellier G, Genes N, et al:Cardiovascular prog-200180160140120100806040200200180160140120100806040200(mmHg)(bpm)(mmHg)(bpm)朝夜p=0.026p=0.013 p=0.017SBP DBP PR SBP DBP PRSDテルミサルタン80mg テルミサルタン40mg+ヒドロクロロチアジド12.5mg図4高用量のARBあるいはARBとサイアザイド系利尿薬を投与した場合における朝と夜の家庭血圧SBP:収縮期血圧,DBP:拡張期血圧,PR:脈拍数.