カレントテラピー32-3 サンプル

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48 Current Therapy 2014 Vol.32 No.3250不足,すなわち降圧薬の作用時間が十分に24時間をカバーしていないことが考えられる.わが国では,降圧薬としてカルシウム(Ca)拮抗薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)が,副作用が少なく降圧効果に優れることから多く用いられている.表2,3はそれぞれ1日1回で用いられているCa拮抗薬とARBの服用後血中濃度の半減期の一覧である.降圧薬の効果の持続には薬剤血中濃度が関係するが,それとともに薬剤の組織親和性,すなわち薬剤の血管や組織の受容体への結合がどれくらい持続するかが関係すると思われる.しかし,後者の指標は臨床においては直接測定することが難しく,主に in vitro や動物実験の成績から評価されている.図2は,高血圧患者において,血中濃度半減期が24時間を超えるアムロジピン,あるいは半減期は1~1.7時間であるが血管組織親和性が高いとされるベニジピンをクロスオーバーにて投与し,ABPMを比較した結果である23).昼間の外来受診する時間帯の降圧効果は両薬で同等であるが,夜や朝の時間帯の血圧コントロールには半減期の長いアムロジピンのほうが有利であると思われる.さらに,アムロジピンと血中濃度半減期が10時間のニトレンジピンをクロスオーバー投与にてABPMを比較した結果でも,昼間の血圧には差がないものの,朝の時間帯の血圧コントロールは半減期の長いアムロジピンのほうが優れていた24).しかし,同様にアムロジピンと半減期が約13時間のアゼルニジピンのクロスオーバー投与で家庭血圧を比較した成績では,外来診察時の血圧とともに,朝および夜の家庭血圧にも両薬の間で有意差は認められなかった25).したがって,降圧薬の血中濃度の半減期が十数時間以上であれば24時間にわたり血圧をコントロールする降圧効果の持続が期待でき,仮面高血圧の抑制に有用であると考えられる.一方,ARBを用いた検討では,半減期十数時間一般名商品名血中濃度半減期(時間)ロサルタンニューロタン? 24(Exp3174)バルサルタンディオバン? 3.7~5.7カンデサルタンブロプレス? 8.9~9.5イルベサルタンアバプロ?,イルベタン? 10.1~15.2オルメサルタンオルメテック? 10.2~10.6アジルサルタンアジルバ? 12.8~13.2テルミサルタンミカルディス? 20.9~24.0アリスキレンラジレス? 33.5~37.0(Exp3174:ロサルタンの活性代謝産物)表3わが国で使用されているアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)およびレニン阻害薬の血中濃度半減期一般名商品名血中濃度半減期(時間)アムロジピンノルバスク?,アムロジン? 33.3~39.4アゼルニジピンカルブロック? 19.2~23.1ニルバジピンニバジール? 10.7~10.9ニトレンジピンバイロテンシン? 10.0バルニジピンヒポカ? 9.4~11.0ニソルジピンバイミカード? 8.5~9.8マニジピンカルスロット? 7.3ニフェジピン徐放錠アダラート?CR 7.0~9.2シルニジピンアテレック? 5.2~8.1アラニジピンサプレスタ?,ベック? 2.7~3.3エホニジピンランデル? 2.0フェロジピンスプレンジール?,ムノバール? 1.9~2.7ベニジピンコニール? 1.0~1.7表21日1回投与で用いられるCa拮抗薬の血中濃度半減期