カレントテラピー32-3 サンプル

カレントテラピー32-3 サンプル page 10/36

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー32-3 サンプル の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー32-3 サンプル

Current Therapy 2014 Vol.32 No.3 13家庭血圧による高血圧診断とリスク評価215仮面高血圧のリスクは高血圧患者と同等であることが記されている.すなわち,白衣高血圧患者は持続性高血圧より心血管イベントの頻度は低く,年齢,性別,その他の交絡因子を補正したメタ解析によると予後は正常血圧者と大差がないこと,他方,院外血圧値は高く,臓器障害,糖尿病の新規発症,左室肥大などの頻度は高い可能性があることから,治療は生活習慣の改善が主となるものの厳重なフォローも必要であるということが記されている.一方,仮面高血圧患者は臓器障害,他のリスクを伴うことが多く,心血管イベントは正常血圧の2倍で,持続性高血圧と同等であることから,降圧治療が必要であることが記されている.白衣高血圧が有害か無害かはいまだ議論のあるところであるが,今後もエビデンスの蓄積が必要と考えられる.また,本邦の家庭血圧測定の指針でも白衣高血圧から真性高血圧への移行率が真の正常血圧より高いことが記載され,厳重なフォローが必要であることが記されている1).Ⅵ おわりに日本高血圧学会は,『家庭血圧測定条件設定の指針』を世界に先駆けて発刊した.また今年改定されるJSH2014において「診察室血圧と家庭血圧の診断が異なる場合は家庭血圧の診断を優先する」との文言が追加される予定である.このように,わが国は高血圧ガイドラインにおいて,家庭血圧の位置づけを最も重視する国のひとつであるといえる.家庭血圧については,正常値や降圧目標値の検証,また家庭血圧に基づいた治療が外来血圧ベース治療に優るかなど検討課題も残されている.今後もこれまで多くのエビデンスを構築してきた日本から,さらなるエビデンスが発信されることが期待される.参考文献1) 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会:高血圧治療ガイドライン2009.ライフサイエンス出版,東京,20092) 日本高血圧学会学術委員会家庭血圧部会:家庭血圧測定の指針 第2版.ライフサイエンス出版,東京,20113) The sixth report of the Joint National Committee on prevention,detection, evaluation, and treatment of high blood pressure.Arch Intern Med 157:2413-2446, 19974) Chobanian AV, Bakris GL, Black HR, et al;National Heart,Lung, and Blood Institute Joint National Committee on Prevention,Detection, Evaluation, and Treatment of High BloodPressure;National High Blood Pressure Education ProgramCoordinating Committee:The Seventh Report of the JointNational Committee on Prevention, Detection, Evaluation,and Treatment of High Blood Pressure:the JNC 7 report.JAMA 289:2560-2572, 20035) Guidelines Subcommittee:1999 World Health Organization-International Society of Hypertension Guidelines for the Managementof Hypertension. J Hypertens 17:151-183, 19996) Pickering TG, Hall JE, Appel LJ, et al;Subcommittee of Professionaland Public Education of the American Heart AssociationCouncil on High Blood Pressure Research:Recommendationsfor blood pressure measurement in humans andexperimental animals:Part 1:blood pressure measurementin humans:a statement for professionals from the Subcommitteeof Professional and Public Education of the AmericanHeart Association Council on High Blood Pressure Research.Hypertension 45:142-161, 20057) O’Brien E, Asmar R, Beilin L, et al;European Society ofHypertension Working Group on Blood Pressure Monitoring:Practice guidelines of the European Society of Hypertensionfor clinic, ambulatory and self blood pressure measurement. JHypertens 23:697-701, 20058) Canadian Hypertension Education Program:The 2007 CanadianHypertension Education Program recommendations:the scientific summary-an annual update. Can J Cardiol23:521-527, 2007白衣高血圧が疑われる場合Grade Ⅰ高血圧 診察室血圧高値例で,無症候性臓器障害がなく,CVリスクが低い例仮面高血圧が疑われる場合 診察室血圧が正常高値 診察室血圧が正常で,無症候性臓器障害を伴い,CVリスクが高い例高血圧患者で白衣効果を同定したい場合診察室血圧変動(受診日内血圧変動および受診間変動高値)が大きい例自律神経性,起立性低血圧,食後低血圧,薬剤性低血圧症例薬剤抵抗性高血圧が疑われる症例表5家庭血圧もしくは自由行動下血圧の適応(ESC/ESH 2013)〔参考文献13)より引用改変〕