カレントテラピー 32-2 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.2 63163盟学会の専門医制度の評価・認定作業を行うとともに,国民に専門医制度を正しく理解してもらえるよう啓発活動も行っている.現在,“専認構”には専門医制度をもつ85学会が加入している.わが国の専門医制度の特徴は,すでに述べたようにそれぞれの学会が制度設計をし,専門医の認定を行っていることである.したがって制度の統一性,専門医の質の担保に懸念が生じている.学会によっては専門医の認定プロセスが必ずしも明確でなく,臨床能力本位になっていない認定制度も少なからず見受けられる.どのような研修を経て受験資格が与えられるのか? 試験は臨床能力を問うものになっているのか? などこれまでにも多くの問題点が指摘されてきた.ひとりの医師が多数の専門医を取得しているような状況はそのことを如実に物語っている.専門医の認定がそれぞれの学会の判断で行われていることから“専門医”が公の資格として国民に広く受け入れられるものにはなっておらず,国民は“専門医”の資格がどのようなものなのか? 専門医を受診するにはどうすれば良いのか? 等の疑問も度々投げかけられてきた.何よりも学会が受験料,認定料等を受領して専門医の認定を行う仕組みは“いわゆる利益相反”にあたるのではないかとの指摘もされている.Ⅱ 専門医制度の意義と制度改革に向けての基本的な考え方専門医制度の意義に関しては今さら述べるまでもないかも知れないが,医師にとっては,修練プログラムの充実によってその診療レベルを高めることができると同時に,自ら修得した知識,技術,態度について認定を受け,それを社会に開示できることである.患者側から見ると,診療を受けるにあたり医師の専門性の判断ができ,受診に際して参考になることである.医療制度の面から考えてみると医師の間での役割分担を進めることによって,診療の効率化が図れる.公けの認定を受けた専門医をわかりやすい形で国民に知らせる仕組みをつくることにより,“診療科の自由標榜制”の問題解決にも繋がる.“専認構”では,現在わが国の専門医制度が抱えている問題を解決するために専門医制度改革に向けた議論を開始した.「患者の視点に立った専門医制度」と「専門医の質の一層の向上」を最重要課題にすえた制度改革である.専門医制度改革にあたっての基本的事項として下記を確認した.すなわち,? 患者の受診に際してわかりやすい専門医制度の構築と専門医の新たな公示の仕組み? 専門医の質の一層の向上が担保できる育成・認定プロセスの構築? 専門医の地域・診療科の偏在の是正,適正数と適正配置への対応? 専門医へのインセンティブ賦与が可能となる仕組みまた新たな制度設計として1 患者さんに信頼される医師の自立的な制度として確立する2 個別学会単位ではなく,診療領域単位の専門医制度とする3 専門医は基本領域専門医とサブスペシャルティ領域専門医の二段階性とする4 専門医育成には研修プログラムと研修施設の評価・認定の制度を新たに構築する5 専門医の適正数,適正配置,医療の役割分担を推進できる制度設計とする6 各学会が行ってきた専門医の認定は中立的・第三者機関で行うことで専門医を公の資格として確立する“専認構”において,これらの制度改革の基本コンセプトが承認されたことを受けて厚生労働省に「専門医の在り方に関する検討会」(専門医検討会)が設けられることになった.検討会での議論は,前述の“専認構”での議論を踏まえた形で進められることになり,以下に述べる「新たな専門医制度」が提案されることになった.