カレントテラピー 32-12 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.12 69治療薬解説1231Ⅲ シロスタゾールを含んだ併用療法シロスタゾールはCSPS2(Cilostazol Stroke PreventionStudy 2)でアスピリンよりも有意に脳卒中発症が少なく,特に出血性脳卒中が明らかに少なかった.また重篤な出血イベントも少なかったこと5)から,他剤との併用療法が安全に行えることが期待できる薬剤である.TOSS(Trial of cilOstazol in Symptomatic intracranialarterial Stenosis)は,MRAによって中大脳動脈M1部または脳底動脈に狭窄があり,その血管領域に急性期脳梗塞が確認された発症14日以内の症候性脳梗塞を対象に,アスピリン1日100mgにシロスタゾール1日100mg2回あるいはプラセボが投与され,6カ月後の症候性頭蓋内狭窄の進展を主要評価項目とした臨床試験であった.症候性頭蓋内狭窄進行は,併用群が6.7%に対して,アスピリン単独群が28.8%と有意に併用群で低かった.臨床的な転帰に関しては,TOSSでは両群あわせて1例も脳卒中再発は認められなかった6).TOSS2ではTOSSと同じように症候性頭蓋内狭窄を対象に,アスピリン1日75~150mgに,シロスタゾール1日100mg2回またはクロピドグレル1日75mgが投与された.7カ月後の症候性頭蓋内狭窄の進展はシロスタゾール併用群とクロピドグレル併用群のオッズ比は0.61でp=0.092と統計学的な有意差は認められなかった.臨床的な転帰に関しては,それぞれの心血管イベントは6.4% vs. 4.4%(p=0.312),新規虚血性病変18.7% vs. 12.0%(p=0.078),重篤な出血合併症0.9% vs. 2.6%(p=0.163)といずれも両群間では明らかな差を認めなかった7).本邦で頭蓋内狭窄を対象に行われたCATHARSIS(Cilostazol-Aspirin Therapy Against RecurrentStroke with Intracranial Artery Stenosis)については,国際学会で結果が発表されたが,アスピリンとシロスタゾール併用群およびアスピリン単独群との比較では症候性頭蓋内狭窄の進展に有意差は認められなかった.シロスタゾールを含む抗血小板薬の併用療法のうち,アスピリンとの併用療法はこれまで症候性頭蓋内狭窄を対象に,その狭窄度の進展抑制効果を主要評価項目として臨床試験が行われているが,脳梗塞再発という臨床的転帰を主要評価項目として行われ脳梗塞頭蓋内出血RR 0.94(95% CI:0.81‐1.09)RR 0.92(95% CI:0.78‐1.08)HR 0.80(95% CI:0.60‐1.05)HR 0.82(95% CI:0.63‐1.09)RR 0.83(95% CI:0.46‐1.48)RR 1.61(95% CI:0.98‐2.61)HR 1.18(95% CI:0.53‐2.64)HR 1.651.0 (95% CI:0.83‐3.31)0.80.60.40.20相対危険率相対危険率ASA Clop ASA+ClopMATCH SPS3CAPRIE CHARISMAASA Clop ASA+ClopMATCH SPS3CAPRIE CHARISMA1.000.920.860.80 0.8200.51.01.52.01.000.831.341.181.65図2主な抗血小板薬併用臨床試験での脳梗塞と頭蓋内出血の相対危険率ASA:アスピリン,Clop:クロピドグレル,RR:相対危険率,HR:ハザード比〔参考文献1),3),4),9)より引用改変〕