カレントテラピー 32-12 サンプル page 18/30
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カレントテラピー 32-12 サンプル
68 Current Therapy 2014 Vol.32 No.121230満,32%が31日以降であり,TOAST分類では53%がラクナ梗塞であった.主要評価項目である虚血性脳卒中+心筋梗塞+血管死亡+急性虚血入院は,併用群15.7%,クロピドグレル単独群16.7%で相対危険率低下は6.4%(-4.6~16.3)と有意差は認められなかった.命に関わる出血は併用群2.6%,クロピドグレル単独群1.3%で絶対危険率は1.3%の有意な増加となり,クロピドグレルにアスピリンを追加する有用性は認められなかった1).2 アスピリン単独 vs. アスピリン+クロピドグレルCHARISMA(Clopidogrel for High AtherothromboticRisk and Ischemic Stabilization, Management,and Avoidance)では5年以内のTIA/脳梗塞例以外に心筋梗塞や症候性末梢動脈疾患など多彩なアテローム血栓症15,603例を対象にアスピリン1日75~162mgにクロピドグレル1日75mgまたはプラセボを内服し,中間観察期間28カ月で経過観察された.主要評価項目である心筋梗塞+脳卒中+血管死亡の発症は,併用群6.8%,アスピリン単独群7.3%で,相対危険率0.93(0.83-1.05, p=0.22)と差がなく,重篤な出血もそれぞれ1.7% vs. 1.3%,相対危険率1.25(0.97-1.61, p=0.20)と差を認めなかった2).TIA/脳梗塞例だけのサブ解析では,主要評価イベント発症が併用群4.9%,アスピリン単独群6.1%でハザード比0.80(0.62-1.03),重篤な出血がそれぞれ1.9% vs. 1.7%,ハザード比1.11(0.71-1.73)であり,併用療法の明らかな有意性は示されなかった3).SPS3(Secondary Prevention of Small SubcorticalStrokes )は発症から14~180日の症候性ラクナ梗塞を対象にアスピリン1日325mgにクロピドグレル1日75mgあるいはプラセボを内服して,平均3.4年経過観察された.主要評価項目は頭蓋内出血+虚血性脳卒中という脳卒中発症で,併用群が年2.5%,アスピリン単独群が年2.7%,ハザード比は0.92(0.72-1.16)と差がなく,重篤な出血はそれぞれ年2.1% vs. 1.1%でハザード比は1.97(1.41-2.71)と有意に高く,死亡率もハザード比が1.52(1.14-2.04)と有意に併用群で高かった4).3 アスピリン+クロピドグレル併用の小括アスピリンとクロピドグレルの併用療法は冠動脈疾患のステント血栓予防には最も基本的な治療法として確立されているが,TIA/脳梗塞の慢性期再発予防については上記のように,それぞれの単剤を上回る明らかな有用性は確立されていない.脳梗塞再発および頭蓋内出血についてみてみると,アスピリン+クロピドグレル併用療法は脳梗塞再発については,アスピリン単独に比べて15~20%程度減少させるが,頭蓋内出血はアスピリン単独よりも20~60%程度増加させることがわかる(図2).CHARISMASPS3アスピリンアスピリンクロピドグレルクロピドグレル(チクロピジン)シロスタゾールクロピドグレルシロスタゾールアスピリンシロスタゾールCSPS2TOSSCATHARSISTOSS ⅡCAPRIEMATCH図1TIA/脳梗塞を対象とした抗血小板薬による再発予防臨床試験の俯瞰図四角枠が抗血小板薬およびその併用の組み合わせ.丸枠が比較臨床試験名.CAPRIE:Clopidogrel versus Aspirin in Patients atRisk of Ischaemic EventsCATHARSIS:Cilostazol-Aspirin Therapy AgainstRecurrent Stroke with Intracranial Artery StenosisCHARISMA:Clopidogrel for High AtherothromboticRisk and Ischemic Stabilization, Management, andAvoidanceCSPS2:Cilostazol Stroke Prevention Study 2MATCH:Management of ATherothrombosis withClopidogrel in High-risk patientsSPS3:Secondary Prevention of Small SubcorticalStrokesTOSS:Trial of cilOstazol in Symptomatic intracranialarterial Stenosis