カレントテラピー 32-12 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.12 671229Ⅰ はじめに作用機序の異なる抗血小板薬を併用することで,より強力な血小板機能抑制によりTIA/脳梗塞の再発予防効果が増強されることが期待されるが,同時に副作用としての出血のリスクが増大することになる.発症直後の急性期治療における抗血小板薬併用療法は別項で詳述されるので,本稿ではTIA/脳梗塞の慢性期の再発予防を概説する.本邦でTIA/脳梗塞の再発予防に保険適用のある抗血小板薬としては,アスピリン,シロスタゾール,チクロピジン,クロピドグレルがある.チクロピジンとクロピドグレルはADP受容体であるP2Y12を阻害するチエノピリジン抗血小板薬であり,チクロピジンは副作用の発現率が比較的高いことから,現在はクロピドグレルが主に使われている.なお,アスピリンはシクロオキシゲナーゼ阻害,シロスタゾールはフォスフォジエステラーゼ3阻害によって抗血小板作用を発揮する.これらの抗血小板薬単剤の比較,併用との比較試験の一覧を図1に示す.Ⅱ アスピリン+クロピドグレルの併用療法1 クロピドグレル単独 vs. アスピリン+クロピドグレルMATCH(Management of ATherothrombosiswith Clopidogrel in High-risk patients)試験では3年以内に虚血性脳卒中,心筋梗塞,狭心症,糖尿病,症候性末梢動脈疾患のいずれかを有する,発症3カ月以内のTIA/脳梗塞を対象に,クロピドグレル1日75mg内服にアスピリン1日75mgまたはプラセボを内服し,18カ月経過観察された.臨床試験組み込みとなったTIA/脳梗塞からの登録時期は19%が7日未抗血小板薬の併用療法星野晴彦** 東京都済生会中央病院内科・神経内科部長・脳卒中センターセンター長急性脳血管症候群としての一過性脳虚血発作―脳卒中予防の水際作戦TIA/脳梗塞再発予防に抗血小板薬の併用療法の有用性が期待されてきた.しかし,慢性期のアスピリンとクロピドグレルの併用療法については,アスピリン単独およびクロピドグレル単独と比較して,脳梗塞の再発を若干低下させるものの,出血合併症が増加し,単独療法を上回る有用性が確認されていない.アスピリンとシロスタゾールの併用療法についても症候性頭蓋内狭窄を対象とした臨床試験が行われているが臨床的な有用性は確認されていない.急性期には併用療法の有用性が示されているが,慢性期には,出血合併症をいかに少なくして再発予防効果をあげることができるかが鍵であり,併用療法の薬剤選択,投与量,投与期間,対象となる病態等が検討される必要がある.出血合併症の少ないシロスタゾールを含んだ併用療法の有用性も期待される.a b s t r a c t