カレントテラピー 32-12 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.12 41一過性脳虚血発作の緊急対応1203ズム(TIA研究峰松班試案より一部改変)を図5に示す.2009年にAHA/ASAから出された共同声明では,TIAを「局所の脳,脊髄,網膜の虚血により生じる一過性神経学的機能障害で,画像上脳梗塞巣を伴っていないもの」と定義しているが6),本試案の診断基準では「一過性神経学的機能障害で,画像上の脳梗塞巣の有無は問わない」とする立場をとっている.画像上の病巣を認める例を脳梗塞,認めない例をTIAとする海外の定義では,DWI施行の有無のみならず,DWIの施行時期が診断に大きく影響する可能性があることが考慮されている.初期対応に関しては,まず,患者・家族・一般開業医が気軽に相談できる電話相談窓口を24時間365日体制で運用することで一次トリアージをし,TIAの可能性が高い例を24時間体制のTIAクリニックで直ちに評価(MRI, MRA, 頸部血管超音波,心電図等)する.そして,DWIでの脳梗塞巣,責任血管病変(頸動脈および頭蓋内動脈狭窄性病変)や心房細動を有する症例は入院加療とするというものである.脳卒中発症予測スコアについては,ABCD2スコアが3点以上を入院の適応とする欧米のデータがそのままわが国にも当てはまるかどうかが不明であるため,現在わが国で進行中の「外来受診したTIA例の前向き登録研究(PROspective Multicenter registry toIdentify Subsequent cardiovascular Events afterTIA:PROMISE-TIA)」等,今後の研究成果を基に,この試案の活用法を検討する予定である.Ⅴ おわりに開業医と連携して,迅速に必要な検査を行い,早期に治療を開始するTIAクリニックが脳卒中の予防に有用であることが示された.わが国でもTIAクリニックに相当する医療体制を整備し,開業医と専門病院の医療連携を改善させることにより,さらに多くの患者の脳卒中発症予防を実践できることが期待される.①発症後48時間以内②発症後48時間~7日で,ABCD2スコア ≧4,もしくは, TIAを短期間(1週間以内)に繰り返す①,②のいずれかを満たす開業医が評価以下の①~③すべての迅速な検査が外来で可能①DWI②MRA, CTA or 超音波検査による頸部/頭蓋内血管病変の評価③12誘導心電図以下の①~③のうち少なくとも1つの項目を有する①DWI病変②責任血管病変(50%以上の狭窄もしくは閉塞)③心房細動脳卒中専門病院での評価専門病院へ入院外来TIAが疑われる患者(発症後7日以内)YesYesYesNoNoNo直ちに専門病院へ紹介専門病院へ紹介図5わが国におけるTIAの初期対応に関するアルゴリズム〔 TIA研究峰松班試案より一部改変〕