カレントテラピー 32-11 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.11 71059企画JCHO東京高輪病院院長木村健二郎慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)という概念は2002年に米国から提唱された.CKDは1つの病気ではなく,多くの病態を包含した概念である.この概念が提唱された背景には,CKDとされる病態をもっている人は,末期腎不全にいたる危険があるのみならず,脳卒中や心筋梗塞といった心血管疾患を発症する危険を負っている可能性がある,ということがある.多くの疫学データは,糸球体濾過量(glomerular filtration rate:GFR)が低下すればするほど,また尿蛋白(アルブミン)が多くなればなるほど,末期腎不全や心血管疾患の危険が増大することを示している.CKDが末期腎不全の高危険群であることは理解しやすいが,CKDが心血管疾患の高危険群であるということは,一般には,理解しがたいことである.本特集は「CKDと心血管疾患の関連」について,最近の考え方と治療の動向に焦点を当てて企画した.最初のチャプターでは,「CKDにおける心血管疾患の病態」として,CDKにおいて血管障害が発症するメカニズムを4人のエキスパートの先生方に解説いただいた.CKDの危険因子として,加齢と高血圧,糖尿病,脂質異常,メタボリックシンドローム,肥満などの生活習慣病が重要と言われているが,これらはまさに古典的な心血管疾患の危険因子でもある.本特集では,CKDにおける血管障害のメカニズムを血管内皮障害,アディポサイトカイン,食塩と臓器障害,脂質異常の面から解説頂いている.そのメカニズムは不明な点が多いが一読していただければ,最近の研究の成果が整理されるはずである.次のチャプターではCKDと心血管疾患に関する疫学データに関して日本と世界に分けて解説いただいた.CKDの一端を知ることのできる良質の論文である.次にガイドラインである.CKDを扱っているガイドラインは多数発表されているが,その内容は各ガイドラインによって微妙に異なる.3人の先生方に執筆をいただいたが,それぞれのガイドラインの考え方などが良く理解出来るものと思われる.その他,CKDにおける治療の話題を4編,Key wordsを3編お願いした.最後に,筑波大学の山縣邦弘先生と横浜市立大学の田村功一先生と心血管疾患を抑制するためのCKD管理の観点から座談会を行った.CKDにおける重要なアウトカムである心血管疾患をどのように理解して,どのように対処していったら良いか,本特集で全体像を掴んでいただけることと思う.エディトリアル慢性腎臓病(CKD)と心血管疾患の関連― 最近の考え方と治療の動向―