カレントテラピー 32-11 サンプル

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70 Current Therapy 2014 Vol.32 No.111122ソスタットを最長5年間継続投与した米国の長期臨床試験における後ろ向き解析において,血清尿酸値の低下が大きい症例ほどeGFRの低下が抑制されることを報告している18).またWheltonらは痛風患者における高尿酸血症においてフェブキソスタットの長期腎機能に及ぼす効果を検討し,フェブキソスタットによる尿酸低下効果が高いほど腎機能の悪化率が抑制され,腎機能が安定化することを報告している.彼らはこれらの成績から血清尿酸値1mg/dLの低下はeGFR 1 mL/分/1.73m2の改善に相当するとしている19).この結果からわかるように,アロプリノール同様フェブキソスタットも腎機能の維持に有効であることが示唆されている.さらにShibagakiらはCKDstage 3b以上の中等度から高度の腎機能障害を有する患者においてもフェブキソスタットが腎機能低下や尿蛋白増加を抑制させる可能性があることを報告している17).腎移植患者もまたCKD患者である.腎移植患者においても高尿酸血症の頻度が高いだけでなく,移植腎予後を悪化させる可能性がメタ解析でも示唆されている20).組織学的な検討においては,高尿酸血症は腎細動脈硬化や,それに伴う間質線維化/尿細管萎縮(interstital fibrosis and tubular atrophy:IF/TA)との強い関連があることが示されている21),22).移植腎の機能低下の主要因としてIF/TAが関与しており,高尿酸血症への介入がIF/TA,ひいては腎予後を改善する可能性が示唆される.腎移植患者の高尿酸血症に対してもフェブキソスタットが第一選択となっており,今後さらなるエビデンスの蓄積が望まれる.Ⅳ 尿酸低下療法について日本のガイドラインではCKDを伴う高尿酸血症の治療は血清尿酸値が8.0 mg/dLを超える場合には生活指導を行ったうえで薬物治療を考慮することが推奨されている.1 生活指導について生活指導が基本であり重要である.CKD患者においては薬剤の副作用が出やすくまたその使用量の調節が必要であり,十分な薬物療法を行えないこともある.腎機能障害を有する患者では特に生活指導が重要となる.過食,高プリン食,高脂肪食,常用飲酒,運動不足等の生活習慣があれば,まずこれらを改善する必要がある.食事療法としては一日プリン体摂取量400 mg以内を目標とし,尿をアルカリ化する食品の摂取が望まれる.アルコールは種類を問わず血清尿酸値を上昇させるため,過度の摂取は控えるべきである.運動療法は肥満を是正するために有用である.また,果糖やショ糖は血清尿酸値を増加させるので,これらを多く含む飲料や果物の過剰摂取には注意が必要である.(%)100血清尿酸値6.0mg/dL未満の達成率9080706050403020100フェブキソスタット40mg715275 78100930 0尿酸産生過剰型尿酸排泄低下型フェブキソスタット80mgフェブキソスタット120mgプラセボ図5フェブキソスタットは尿酸排泄低下型の高尿酸血症にも有効である〔参考文献16)より引用改変〕