カレントテラピー 32-11 サンプル

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カレントテラピー 32-11 サンプル

Current Therapy 2014 Vol.32 No.11 69治療におけるトピックス1121が知られている.特に腎機能障害がある場合はアロプリノールの代謝産物であるオキシプリノールの蓄積が起こり,副作用の頻度が高くなることより安全性の観点からその使用量に大きな制限がある.その一方で,フェブキソスタットの重大な副作用としては肝機能障害と過敏症があるのみであり,アロプリノールと比較すると少ない.フェブキソスタットは肝代謝によりグルクロン酸抱合を受けた後,糞中と尿中に排泄される(図4)13).そのため軽度から中等度の腎機能障害を有する患者において用量調節することなく通常量を使用することができる14).フェブキソスタットの尿酸降下作用は強いため,急激な尿酸値の低下による痛風発作を誘発する可能性がある.そのため,フェブキソスタットは通常成人には10mgから開始し,徐々に増量する.日本での維持量は通常40 mgであり,最大投与量は60 mgである.2 フェブキソスタットの尿酸低下効果について尿酸生成抑制薬としてのフェブキソスタットとアロプリノールを比較検討した介入研究がいくつか報告されている.Beckerらは痛風患者153人でのフェブキソスタットによる尿酸低下効果およびその安全性を検討している.フェブキソスタットは軽度から中等度の腎機能障害を有する患者においてアロプリノールより有効であり,かつその安全性にも有意な差は認められなかった15).また,痛風を含む高尿酸血症患者において,フェブキソスタットはアロプリノールに比べて血清尿酸値の減少率および血清尿酸値6.0 mg/dL以下の達成率の両者において有意に優れていると報告されている.またGoldfarbらはフェブキソスタットが尿酸産生過剰型の高尿酸血症のみならず,尿酸排泄低下型の高尿酸血症についても血清尿酸値6.0 mg/dL以下の達成率において優れていると報告している(図5)16).さらに柴垣らは,観察研究ではあるがCKD stage 3b以上の中等度から高度の腎機能障害を有する患者においても,フェブキソスタット(最大60 mg/日)が安全で,かつ尿酸値を50%程度も低下させることを報告している17).このようにフェブキソスタットは有効性と安全性に優れていることが報告されている.しかも,中等度までの腎機能障害を有する患者ではその用量を調節しないで使用できる.保険適用の面においてもアロプリノールやベンズブロマロンの適応症が痛風,高尿酸血症を伴う高血圧症であるのに対してフェブキソスタットの適応症は痛風,高尿酸血症であり尿酸降下薬として初めて高尿酸血症単独に対する適用を取得している.3 フェブキソスタットの腎保護作用についてSchumacherらは痛風患者116人を対象にフェブキフェブキソスタット肝代謝代謝物糞中排泄尿中排泄アロプリノール全身の臓器で代謝代謝物尿中排泄代謝物は主として尿中に排泄腎機能低下患者で減量が必要代謝物は糞中,尿中に排泄軽~中等度の腎機能低下患者でも減量が不要図4フェブキソスタットとアロプリノールの代謝・排泄経路の相違〔参考文献13)より引用改変〕