カレントテラピー 32-11 サンプル

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68 Current Therapy 2014 Vol.32 No.1111202)CKDの進行や末期腎不全の危険因子としての高尿酸血症高尿酸血症はさらにCKDの進行や末期腎不全との関連も報告されている.富田らは49,413人の日本人男性を用いた平均5.4年の観察において,高尿酸血症(血清尿酸値≧8.5 mg/dL)は腎不全の独立した予測因子であったと報告している8).また井関らの報告によると集団健診の受診者48,177人(男性22,949人,女性25,228人)を8年間観察した結果,女性において高尿酸血症(血清尿酸値≧6.0 mg/dL)は末期腎不全の独立した予測因子であった2).海外からの報告も含め,このように観察研究からは高尿酸血症がCKDの発症と関連があり血清尿酸値がCKDの進行に有意な関連があるとする報告が増えている9),10).しかし,観察研究のみでは高尿酸血症とCKDの因果関係を結論するには限界があり,介入研究によるエビデンスが重要となる.3)介入研究によるエビデンス前述のとおり,観察研究においては高尿酸血症がCKDの発症と関連があり血清尿酸値が腎機能低下の進行に有意な関連があるとする報告が増えている.そのなかで近年,小規模な臨床試験において高尿酸血症を伴うCKD患者に対する尿酸降下薬投与が腎機能の維持に有効であることが報告されている.Siuらは高尿酸血症を伴うCKD患者54名に対するランダム化比較試験においてアロプリノール100~300mg/日の1年間投与群では,血清尿酸値が9.8 mg/dLから5.9 mg/dLへと低下し,また腎機能の低下が抑制されたことを報告している(図3)11).またGoicoecheaらはeGFRが60 mL/min/ 1.73 m2 未満のCKD患者113名に対するランダム化比較試験においてアロプリノール100 mg/日の2年間投与群では,非投与群に比べ血清尿酸値が低下し,また腎機能の低下が抑制されたことを報告している12).このほかにもいくつかの介入研究の結果が報告されているが,いずれも小規模,単施設,オープンラベルといった問題に加え,CKD患者のなかでも特に問題となる中等度から高度の腎機能障害を有する患者を対象としていないという問題もありエビデンスとしては十分とは言えないのが現状である.Ⅲ フェブキソスタットについて1 フェブキソスタットの特徴フェブキソスタットは2011年に登場した新しい尿酸降下薬である.これまでのキサンチンオキシダーゼ阻害薬であるアロプリノールがプリン骨格をもつのに対して,フェブキソスタットはプリン骨格をもたないキサンチンオキシダーゼ阻害薬である.プリン骨格をもたないためフェブキソスタットは種々のプリン・ピリミジン代謝酵素を阻害する可能性が低い.アロプリノールには中毒性表皮壊死症などの皮膚症状や汎血球減少症をはじめとした重大な副作用治療前後の血清Cr 血清Crの変化率*p<0.05 vs.baseline0.81.21.622.42.83.2アロプリノール群コントロール群1.641.86p<0.05 2.89p=0.081.990 3 6 9 12(月)706050403020100* ***アロプリノール群コントロール群前後前後(mg/dL) (%)図3アロプリノールによるCKDの進展抑制〔参考文献11)より引用改変〕