カレントテラピー 32-11 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.11 671119自体はCKDの危険因子ではないとされていたが,最近になって高尿酸血症が腎機能低下をもたらしCKDの発症や進展に関係している可能性が基礎研究,観察研究,介入研究より示されつつある.ここでひとつ注意しておきたいことは高尿酸血症に対する考え方は日本と欧米とでは大きく異なることである.それはガイドラインによく反映されている.日本のガイドラインではCKDを伴う高尿酸血症の治療は血清尿酸値が8.0 mg/dLを超える場合には生活指導を行ったうえで薬物治療を考慮することが推奨されている.一方,欧米のガイドラインでは痛風関節炎を伴わない無症候性の高尿酸血症に対して薬物治療は必要でないとし,その治療は生活指導が主体である.これは高尿酸血症とCKDとの関係を,日本においては“cause”としてとらえているが,欧米では“consequence”としてとらえているという根本的な違いによる(図1)4).1 基礎研究によるエビデンス基礎研究では尿酸自体が内皮機能障害と強く関連することが報告されている.尿酸トランスポーターであるURAT1は近位尿細管以外にも血管内皮細胞に発現しており,このURAT1を介した尿酸の細胞内への流入が血管内皮障害を引き起こし,腎障害等の臓器障害をきたすと考えられている(図2)5).2 観察研究によるエビデンス1)CKD発症の危険因子としての高尿酸血症辻らの報告によると虎の門病院の人間ドックを受診し,当初CKDを発症していなかった男性7,024人の追跡データ(最長10年間)によると,血清尿酸値が7.1 mg/dL 以上の群では5.1 mg/dL 未満の群に比べCKD の相対危険度が1.6 倍であった6).また井関らは集団健診に参加した6,403 人(男性4,222 人,女性2,181 人)を2 年間観察した結果,血清尿酸値は血清クレアチニン高値(男性≧1.4 mg/dL,女性≧1.2mg/dL)への進展と正の相関を示し,血清尿酸値が8.0mg/dL以上の集団の相対危険度は,血清尿酸値5.0mg/dL未満と比較して,男性では2.9(1.8~4.8),女性では10.4(1.9~56.6)であったと報告している7).ConsequenceCauseCoincidencePATHOGENICALLYRELATEDChronic kidneydiseaseChronic kidneydiseaseChronic kidneydiseaseChronic kidneydiseaseUnderlyingcondition↑Uric acid↑Uric acid↑Uric acid↑Uric acidUNRELATEDCOEXISTENCE 図1高尿酸血症とCKDの関係〔参考文献4)より引用改変〕尿酸+活性酸素産生アンジオテンシンⅡ細胞老化アポトーシス有機陰イオントランスポーター正常ヒト臍帯静脈内皮細胞レニン・アンジオテンシン系の活性化図2 尿酸による血管内皮障害〔参考文献5)より引用改変〕