カレントテラピー 32-11 サンプル

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66 Current Therapy 2014 Vol.32 No.111118Ⅰ はじめに2011年に新しい尿酸降下薬であるフェブキソスタットが登場した.尿酸生成抑制薬としては実に40年ぶりに発売された新薬である.フェブキソスタットはその有効性と安全性に裏づけされた使いやすさから,今後痛風・高尿酸血症に対する第一選択薬となる可能性が高い.慢性腎臓病(CKD)患者の高尿酸血症に対しては実際,すでに第一選択となりつつある.その一方で近年,高尿酸血症は結晶沈着が関与しない病態においても,腎機能低下をもたらしCKDの発症や進展に関係している可能性が示されつつある.このような,いわゆる無症候性の高尿酸血症がCKD,高血圧,心血管疾患,メタボリックシンドロームと関連し,これらの疾患の危険因子である可能性が示唆されたことで,高尿酸血症に対する認識も変化してきている.本稿では高尿酸血症と腎障害に関する知見の概略を紹介しつつ,フェブキソスタットを中心としたCKDにおける尿酸低下療法について述べる.Ⅱ CKDでなぜ高尿酸血症を治療するのか性・年齢を問わず,血清尿酸値7.0 mg/dL以上を高尿酸血症と呼ぶ1).高尿酸血症は年々増加傾向にあり,その頻度は30歳以降の男性で30%に達しているとされている2).高尿酸血症が持続すると痛風関節炎,痛風結節,痛風腎,腎結石など尿酸結晶が関与する合併症が出現してくる3).近年,さらに高尿酸血症の影響は尿酸結晶が関与する合併症以外にも尿酸結晶を介さずに高血圧,腎障害などの病態とも関連していると考えられるようになっている.つまり以前は痛風結節をきたしていない高尿酸血症それCKDにおける尿酸低下療法今井直彦*慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)における尿酸低下療法は2011年にフェブキソスタットが登場したことで大きく変わった.フェブキソスタットはその有効性と安全性から特に慢性腎臓病(CKD)患者の高尿酸血症の第一選択薬となりつつある.これまで多用されてきたアロプリノールは安全性の観点からCKD患者においてはその使用量に大きな制限があり,必然的に尿酸低下効果も満足のいくものではなかった.近年,高尿酸血症がCKDの発症や進行と関係している可能性が示されつつある.フェブキソスタットを使用した高尿酸血症の改善による腎保護作用も報告されるようになっているがそのエビデンスは十分なものとは言いがたい.現在フェブキソスタットを使用して行われている多施設共同,プラセボ対照,二重盲検,ランダム化比較試験(FEATHER試験)の結果が待たれる.* 聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科助教慢性腎臓病(CKD)と心血管疾患の関連―最近の考え方と治療の動向