カレントテラピー 32-11 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.11 51ガイドラインにみるCKDの管理治療のあり方と心血管疾患1103験期間中の収縮期血圧126~130 mmHg近辺が脳卒中以外の心筋梗塞などのCVD発症のリスクが最も低かったが,脳卒中については試験期間中の収縮期血圧112~121mmHg近辺で最もリスクが低く,特に正常腎機能では厳格な降圧が脳卒中の抑制には重要とされている.海外での正常腎機能とCKD G3-G 4区分(eGFR 60mL/分/1.73m2未満のみで定義)を対象として脳卒中の発症頻度を比較した観察研究(ARIC研究とCHS研究)においては,正常腎機能では120 mmHg未満の収縮期血圧帯(補正後)で脳卒中リスクが最小となったのに対して,CKDでは120~129mmHgの収縮期血圧帯(補正後)が最も脳卒中のリスクが低かった.そして,CKDでは収縮期血圧120mmHg未満および130mmHg以上では有意な脳卒中リスクの増加が観察されており,CKDでは脳卒中についても120mmHg未満という低いレベルではリスクが上昇する可能性が否定できない(図3)17).一方Perindopril Protection Against Recurrent StrokeStudy(PROGRESS)には日本人や中国人など多くのアジア人が含まれているのが特徴であるが,このサブ解析の成績によれば,PROGRESSの対象となった脳血管障害6,105例のうち,CKD合併患者1,757例(eGFR 60 mL/分/1.73 m2 未満のみで定義)を解析したところ,CKD合併患者では非合併患者と同様に,ベースラインの血圧レベルに関わらず,降圧により脳卒中のリスクは低下していたことが示されている.血圧達成レベルと脳卒中発症率の関係では,収縮期140 mmHg未満の降圧ではその脳卒中発症率の低下効果は鈍化していたが,非CKD群と同様にCKD群においても120 mmHg未満の血圧下降でも脳卒中発症率が上昇することはなかった.これら糖尿病非合併CKDにおけるCVDの予防に関するエビデンスは,すべて観察研究かランダム化比較試験のサブ解析であり,高いエビデンスレベルではない.したがって,糖尿病非合併CKDにおいて,CVDの予防の面から降圧目標として130 / 80 mmHg未満を推奨するためには,CKDにおける脳卒中を中心としたCVD抑制のための降圧目標に関するさらなるエビデンスの集積が必要と考えられた.以上より,CKDの進行抑制およびCVDの発症抑制の両面から,すべてのA区分において,少なくとも140 / 90 mmHg未満を降圧目標とすることが強く推奨されるが,一方,糖尿病非合併CKDでも蛋白尿を合併する場合(A 2, A 3区分)では,より低値の130 / 80 mmHg未満の降圧を目指すことを推奨している(表).Ⅲ CKDにおける高血圧治療の第一選択薬は何が推奨されるか糖尿病合併CKDにおいては微量アルブミン尿(A2区分:早期腎症,尿中アルブミン/尿中クレアチニン30mg/gCr以上)の段階からレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬を第一選択薬とする(図1).糖尿病非合併CKDの高血圧治療の第一選択薬A1区分〔正常蛋白尿(尿蛋白量0.15g/gCr未満)〕は,RA系阻害薬の優位性は証明されておらず,降圧薬の種類は問わない.一方,A 2, A 3区分〔軽度以上の蛋白尿(尿蛋白/尿中クレアチニン0.15 g/gCr以上)〕の糖尿病非合併CKDでは,RA系阻害薬による腎保護効果が期待されるため,積極的に使用すべきとしている(図1).参考文献1)Gerstein HC, Mann JF, Yi Q, et al;HOPE Study Investigators:Albuminuria and risk of cardiovascular events, death,and heart failure in diabetic and nondiabetic individuals.JAMA 286:421-426, 20012)Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium, Matsushita K,van der Velde M, Astor BC, et al:Association of estimatedglomerular filtration rate and albuminuria with all-cause andcardiovascular mortality in general population cohorts:acollaborative meta-analysis. Lancet 375:2073-2081, 20103)Abramson JL, Jurkovitz CT, Vaccarino V, et al:Chronic kidneydisease, anemia, and incident stroke in a middle-aged,community-based population:the ARIC Study. Kidney lnt64:610-615, 20034)Go AS, Fang MC, Udaltsova N, et al;ATRIA Study Investigators:Impact of proteinuria and glomerular filtration rateon risk of thromboembolism in atrial fibrillation:the anticoagulationand risk factors in atrial fibrillation(ATRIA)study. Circulation 119:1363-1369, 20095)Mahmoodi BK, Matsushita K, Woodward M, et al;ChronicKidney Disease Prognosis Consortium:Associations of kidneydisease measures with mortality and end-stage renal diseasein individuals with and without hypertension:a meta-analysis.Lancet 380:1649-1661, 20126)Fox CS, Matsushita K, Woodward M, et al;Chronic Kidney