カレントテラピー 32-11 サンプル

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48 Current Therapy 2014 Vol.32 No.111100を有するCKDも含まれるが,厳格降圧群(目標収縮期血圧120 mmHg未満)と通常降圧群(目標収縮期血圧140mmHg未満)との間で比較したCKD進行抑制への効果については,アルブミン尿減少は厳格降圧群のほうが良好であったが,eGFR維持については通常降圧群のほうが良好との相反する結果が得られた.次に,糖尿病合併CKDにおけるCVD合併抑制からみた降圧目標のエビデンスであるが,前述のACCORD研究においては,厳格降圧群と通常降圧群との間で複合CVDイベントでは抑制効果に差がなかったが,脳卒中については,厳格降圧群における有意な発症抑制が認められた.ACCORD研究を含む海外での糖尿病・耐糖能障害に対する13の介入試験を対象としたメタ解析でも,収縮期血圧130 mmHg未満への降圧による脳卒中のリスク低下が認められた10).また,介入研究のサブ解析では,海外での2型糖尿病顕性腎症合併高血圧を対象としたIDNT研究では,試験期間中の収縮期血圧が121~130 mmHgの場合に総死亡のリスクが最も低かったが,121mmHg未満では逆に総死亡の上昇がみられた.CKD対象ではないが糖尿病を合併した冠動脈疾患を対象としたINVEST研究のサブ解析では,厳格降圧群(目標収縮期血圧130 mmHg未満)と通常降圧群(目標収縮期血圧140 mmHg未満)との間で複合CVDイベントの発症率に有意差はみられなかったが,試験期間中の収縮期血圧別の総死亡率については,収縮期血圧110 mmHg未満の群において有意な増加が認められた.同様にCKD対象ではないが,国内の糖尿病合併高血圧患者を対象としたChallenge-DM研究では,診察室血圧が130 / 80 mmHg未満に管理された群では,130 / 80 mmHg以上の群に比較して複合CVDイベントが有意に抑制されていた.これらのエビデンスからも,糖尿病合併CKDにおける降圧目標として,CKD進行抑制効果および脳卒中を中心としたCVD抑制効果のバランスを重視し,A区分に関わらず130 / 80 mmHg未満への推奨を支持すると考えられた(表).2 糖尿病非合併CKDにおけるCKD進行抑制およびCVD発症抑制のための降圧療法糖尿病非合併CKDにおけるCKD進行抑制からみた降圧目標のエビデンスについては,糖尿病非合併CKDを主な対象として,厳格降圧群〔目標血圧125/ 75mmHg未満(平均動脈圧92mmHg未満)〕と通常降圧群〔目標血圧140 / 90 mmHg未満(平均動脈圧107 mmHg 未満)〕の腎機能低下速度を比較したMDRD試験の本解析においては,腎機能低下速度,およびESKDと死亡について厳格降圧群の優位性は認められなかった11).また,腎硬化症を対象としたAASK試験の本解析においても,蛋白尿合併の有無に関わらず厳格降圧群〔目標血圧125 / 75 mmHg未満(平均動脈圧92 mmHg未満)〕の通常降圧群〔目標血圧140 / 90 mmHg未満(平均動脈圧107 mmHg未満)〕に対する腎機能低下速度の抑制効果は認められなかった12).さらに,尿蛋白1g/日以上を有する糖尿病非合併CKDを対象としたREIN - 2研究においてDM非合併CKDの降圧目標推奨グレード降圧目標はすべてのA区分において140/90mmHg未満を維持するAA2, A3区分では,より低値の130/80mmHg未満を目指すC1DM非合併CKDの第一選択薬A1区分ではRA系阻害薬,Ca拮抗薬あるいは利尿薬を推奨するBA2, A3区分では,RA系阻害薬を推奨するBDM合併CKDの降圧目標推奨グレード降圧目標はすべてのA区分において130/80mmHg未満を推奨するBDM合併CKDの第一選択薬A1区分では,RA系阻害薬を推奨するC1A2, A3区分では,RA系阻害薬を推奨するA表エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013が推奨する降圧療法A1: 尿蛋白<0.15g/gCreまたは尿アルブミン<30mg/gCr,A2:尿蛋白0.15-0.49g/gCreまたは尿アルブミン30-299mg/gCr,A3:尿蛋白≧0.50g/gCreまたは尿アルブミン≧300mg/gCr推奨グレードA:強い科学的根拠があり行うよう勧められる,推奨グレードB:科学的根拠があり行うよう勧められる,推奨グレードC1:科学的根拠はない(あるいは,弱い)が,行うよう勧められる〔参考文献7)より引用改変〕