カレントテラピー 32-11 サンプル

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カレントテラピー 32-11 サンプル

Current Therapy 2014 Vol.32 No.11 471099ンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)(テルミサルタン)およびACEI+ARB併用群では,尿中アルブミン排泄量の減少がみられた.TRANSCEND試験のサブ解析では,微量アルブミン尿をもつ症例において,ARB(テルミサルタン)が複合腎エンドポイント(クレアチニン倍化,透析導入)の改善を認めたが,CVDの発症率は対照群と同等であった.一方,両試験のコホートサブ解析の結果では,eGFRとアルブミン尿が独立してCVDリスクに関連することが示された.また,ONTARGET試験,TRANSCEND試験,PEACE試験,あるいはLIFE試験などのコホートサブ解析の結果でも,試験期間中のアルブミン尿の増減とCVD発症との間に関連性が認められている.CKDは脳卒中の発症に影響する重要な因子であることが示されている3).2型糖尿病患者を対象に,厳格降圧群(目標収縮期血圧120 mmHg未満)と緩徐降圧群(目標収縮期血圧140 mmHg未満)の効果を比較したACCORD試験では,厳格降圧群においてアルブミン尿減少,eGFR 低下の抑制とともに,脳卒中発症の減少が認められた.また近年,CKDは心房細動発症に影響する重要な因子であることが示されている4).腎臓病と生命予後および末期腎不全(end -stagekidney disease:ESKD)への進展に関連について高血圧の有無で違いがあるか検討した結果が示されている5).45 コホート試験(25;一般住民,7;ハイリスク患者,13;CKD)の対象1,127,656 例(そのうち364,344例が高血圧)を解析した.一般住民やハイリスク患者では高血圧の有無に関わらず,eGFR低下,アルブミン・クレアチニン比(ACR)高値は生命予後に関連していた.正常eGFR群では,高血圧は1.1~1.2倍の全死亡率増加に関与していた.eGFR 95mL/分/1.73m2のリスクを基準とした場合,eGFR 45mL/分/1.73m2の全死亡に対するハザード比(HR)は,高血圧のない例は1.77,ある群は1.24であった.同じようにACRが300の場合,全死亡に対するHRは高血圧なしで2.30,ある群で2.08であった.これらの結果からESKD へのeGFR やACR の関連は,高血圧の有無では違いはなかった.CKDのコホートでは,一般住民およびハイリスクのコホートと同様の結果であり,高血圧の有無に関わらず,CKDが生命予後とESKDにおいて同様のリスクになっていた.eGFR低下とアルブミン尿の有害事象との関連が糖尿病の有無で変化するかの検討は6),30の一般住民や高い心血管リスク患者を対象にしたコホート,および13のCKDを対象にしたコホートの計1,204,977例(そのうち128,505例が糖尿病)を,平均8.5年間フォローアップしたものである.全死亡においては,一般住民と高い心血管リスクのコホートの検討では,平均8.5年間のフォローアップで75,306例の死亡を認めた.23試験の心血管予後の検討では,平均9.2年間で21,237例の死亡を認めた.また,一般住民とハイリスクコホートにおいては,糖尿病では生命予後は1.2~1.9倍の増加を認めており,これはどのアルブミン尿レベルでも認めている.eGFR低下とACR高値に伴う生命予後のHR上昇は,糖尿病の有無では差を認めなかった(eGFR 45 vs. 95;HR 1.35 vs. 1.33,ACR 30 vs. 5;HR 1.50 vs. 1.52).糖尿病において生命予後や末期腎不全のリスクは高いが,eGFRおよびACRによるこれらに対する相対リスクは,糖尿病の有無で変化を認めなかった.以上の結果より,臨床予後の予測因子としてCKDの重要性が再確認された.Ⅱ CKD診療ガイドライン2013の降圧目標1 糖尿病合併CKDにおけるCKD進行抑制とCVD発症抑制のための降圧療法降圧療法が,CKD 進行を抑制することは明らかである8),9).糖尿病合併CKDにおけるCKD進行抑制からみた降圧目標のエビデンスでは,海外でのADVANCE研究においては目標血圧130 / 80 mmHg未満への降圧がCKD進行抑制に有効であり,国内でのA1, A2区分の糖尿病合併CKDを対象とした観察研究でも収縮期血圧130 mmHg未満への降圧群でCKD進行抑制がみられた.一方,複数の心血管リスクを有する40歳以上の2型糖尿病患者を対象とした海外のACCORD研究では,約40%のアルブミン尿