カレントテラピー 32-11 サンプル

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46 Current Therapy 2014 Vol.32 No.111098Ⅰ CKDはCVDの独立した危険因子か微量アルブミン尿の存在は,腎臓のみならず他臓器における内皮機能障害や血管拡張反応減弱のマーカーとしてとらえられ,そのため,微量アルブミン尿が動脈硬化,心血管イベント,腎機能障害進展の早期の予測因子になると考えられる.蛋白尿は慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)進行の指標であり,リスクでもある.蛋白尿は微量アルブミン尿の段階から心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)の発症リスクであり1),RENAAL研究やLIFE研究でも達成された蛋白尿レベルがCVD 発症リスクと関連していた.CKDのステージが進むにつれ,CVDによる死亡率は増す.一般住民やCKDを対象としたコホート研究のメタ解析では,尿蛋白量と推算糸球体濾過量(estimatedglomerular filtration rate:eGFR)の両者がCKD進展やCVD発症と死亡率に関連するとされている2).また,高齢高血圧患者を対象としたJATOS試験のサブ解析でも,蛋白尿とeGFR低下の両者が独立してCVDと関連していることが示されている.顕性蛋白尿を呈さないCVD高リスク患者を対象とした介入研究であるONTARGET試験,TRANSCEND試験では,アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)(ramipril)単独またはプラセボと比較し,アンジオテエビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013(日本腎臓学会)藤野貴行*1・長谷部直幸*2微量アルブミン尿や推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)<60mL/分/1.73m2を示す患者では,心血管病の発症頻度が高く,これは他の因子を補正しても認められる.『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013』では,糖尿病合併慢性腎臓病(chronickidney disease:CKD)における降圧目標として,A区分に関わらず130/80mmHg未満へ推奨している.糖尿病非合併CKDでは,すべてのA区分において,少なくとも140/90mmHg未満を降圧目標とすることを強く推奨されるが,一方,糖尿病非合併CKDでも蛋白尿を合併する場合(A2, A3区分)では,より低値の130/80mmHg未満の降圧を目指すことを推奨している.降圧薬については,糖尿病合併CKDでは,微量アルブミン尿(A2区分:早期腎症,尿中アルブミン/尿中クレアチニン30mg/gCr以上)の段階からレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬を第一選択薬とする.糖尿病非合併CKDにおいては,A1区分〔正常蛋白尿(尿蛋白量0.15g/gCr未満)〕ではRA系阻害薬以外にCa拮抗薬や利尿薬も第一選択薬として推奨される.一方,A2, A3区分〔軽度以上の蛋白尿(尿蛋白/尿中クレアチニン0.15g/gCr以上)〕の糖尿病非合併CKDでは,RA系阻害薬による腎保護効果が期待されるため積極的に使用すべきである.*1 旭川医科大学内科学講座・循環・呼吸・神経・病態内科学分野学内講師*2 旭川医科大学内科学講座・循環・呼吸・神経・病態内科学分野教授慢性腎臓病(CKD)と心血管疾患の関連―最近の考え方と治療の動向