カレントテラピー 32-11 サンプル

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38 Current Therapy 2014 Vol.32 No.111090CKDの発症の関係について検討し,ライフスタイルの良い群では有意に蛋白尿の出現が少なく,基礎疾患(糖尿病・高血圧・脂質異常症)の有無とは独立した因子であることを報告している.5つの健康習慣(禁煙,体重管理,節酒,活発な身体活動,食事)は遵守する数が多いほどCVD,2型糖尿病,癌の発症が少なく,生命予後が良好なことが明らかとなっている.日本腎臓学会は『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013』を刊行した.生活習慣の改善に関してのエビデンスはそれほど強くなく,推奨グレードを付けられないものが多い.生活習慣については多くが観察研究によるもので,エビデンス・レベルの高いランダム化比較試験(randomized controlledtrial:RCT)は少ない.RCTでは患者選択のバイアスが避けられず,コンプライアンスの問題や症例数が少ないなど実施困難な課題が多い.CKDが重症化するほど,アウトカムに関連する因子が増加し,単一の因子に対する介入〔赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による貧血治療,スタチンによるLDL低下など〕によるRCTでは治療効果が証明されないこととなる.3 診療連携CKDは早期発見・早期治療により重症化,ESKDの発症が阻止される.保存期のCKD診療はかかりつけ医に依存している.Yamagataら20)は,かかりつけ医と腎臓専門医の協力を促進することで,CKD患者の腎不全進展を抑制する診療システムの有用性を検討する戦略的研究(FROM-J)をすすめている.本研究ではクラスターRCTとして,全国49地区の医師会が参加し,CKD診療ガイドに則った診療を継続する「通常診療群:介入A群」と,CKD診療ガイドに則った診療を継続したうえで受診促進支援,かかりつけ医においての生活・食事指導の介入を行う「慢性腎臓病支援システム群(介入B群)」の2群を比較する介入研究である.介入B群では管理栄養士による教育介入により,CKD患者の管理目標数値の達成割合の増加,および生活習慣の改善効果が認められている.教育介入群ではCKDの重症化抑制効果が期待されている.現在,生活食事マニュアルが作成中である.4 急性腎障害薬物使用にあたっては腎機能に対する配慮が必要である.特に,造影剤検査においては急性腎障害(acutekidney injury:AKI)を予防する工夫が必要となる.AKIから急性腎臓病(acute kidney disease:AKD),CKDに進展する症例も多いことが考えられる.5 特定健診2008年度より開始されている,いわゆるメタボ健診は生活習慣の是正によって改善が期待される疾患(メタボリック症候群,肥満,高血圧,糖尿病,痛風・高尿酸血症,およびCKD)の早期発見,発症予防,治療を目的としている.CKD 患者の早期発見を目的とした健診ではないが,それらのアウトカムについては現在,連続受診者を対象に厚生労働省の研究班〔厚生労働省科学研究費補助金(腎疾患対策研究事業)を受けて行う「CKD 進展予防のための特定健診と特定保健指導のあり方に関する研究」研究代表者:福島県立医科大学教授 渡辺毅〕で調査・解析中である7).CKD はCVD のみならず,感染症,悪性腫瘍,認知症,骨折などとの関連も指摘されている.研究班ではさらに厚生労働省の許可を得て,2008~2012年度の死亡個票を入手し,2008年度の特定健診(specific health check:SHC)受診者の死亡(CVD)をアウトカムとした調査を実施中である.死亡個票では腎不全による死亡も判明するので,透析導入者と併せて腎不全発症数および透析受け入れ率(acceptance rate:AR)などが推定可能である.また,ARの違いが透析患者の地域差の一因になっている可能性も考えられる.さらに,本研究班ではCKD対策としてのマススクリーニングの費用効果分析と財源影響分析を行っている(筑波大学 近藤正英).すでに,特定健診における血清クレアチニン測定を必須検査項目とすることが,費用対効果に優れることを明らかにしている.Ⅴ おわりにわが国におけるCKDの実態およびCVDとの関連を中心に述べた.今後,わが国独自の観察的疫学研