カレントテラピー 32-11 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.11 37疫学研究におけるCKDと心血管疾患1089はハザード比2.22(95%信頼区間1.60- 3.07)で,それぞれ有意で独立した心血管死亡の危険因子であった.3 CKDの原因とCVDの発症・死亡率Nakayamaら13)~15)は「宮城艮陵CKD研究」において,CKD発症の原疾患と短期予後の関係について検討している.宮城県の腎臓外来に通院しているCKD 患者2,692 名を原疾患ごとに,原発性腎疾患(1,306名),高血圧性腎症(458名),糖尿病性腎症(283名),その他(645名)に分類し,1年間のCVD発症および全死亡を観察している.CKDステージ進行に伴うイベント発生率の上昇は,その他の心血管危険因子で補正すると有意ではなかった.一方で,CKDの原疾患によるイベント発生率はその他の心血管危険因子で補正しても有意な差を認めた.原発性腎疾患群に対するイベント発生のオッズ比は,高血圧性腎症,糖尿病性腎症,その他で,それぞれ2.87,11.88,3.59と高値を認めた.また原疾患別に,複合エンドポイント(CVD・脳卒中・総死亡)の予後に有意な差を認めた(図4)14).Ⅳ 今後の課題1 高齢化わが国は今後さらなる高齢化社会を迎え,高齢者人口が急速に増加する.加齢に伴う腎機能低下の機序は不明であり個人差が大きい.しかし,CKD患者(種々の合併症を有する)は増加し,より複雑な病態を呈することが予想される.したがって腎臓専門医のみならず内科系の専門医(循環器,呼吸器,代謝・内分泌など),外科系(眼科,整形外科,脳外科,胸部外科など)の診療科,薬剤師,栄養士などとの連携が必要となる.患者の予後を規定する因子として蛋白・エネルギー不足(protein energy wasting:PEW)とCKDの関連が問題となっている16).CKDの重症化につれてPEWが増加し,予後が不良となる.最近,CKDとPEW(サルコペニア)の関連について大変興味ある研究が実施されており,成果が期待されている17).約半年間,冬眠する熊はその間排尿せず(糸球体濾過量はほとんどゼロ),筋肉の萎縮も認められない.人間は3日間臥床しただけで筋肉が萎縮し立てなくなるのと対照的である.これは,冬眠する前に大量の皮下脂肪を蓄えておくことが前提である.2 ライフスタイルCKD は高血圧,糖尿病,脂質異常症などを基礎疾患として発症することが多く,メタボリック症候群ではCKD の発症が多いことが示されている18).食の欧米化を中心としたライフスタイルの変化より肥満,脂質異常症,耐糖能異常などの代謝性疾患が増加している.Wakasugiら19)は,ライフスタイルとイベントフリー(%)1.000.950.900 500 1,000慢性腎炎二次性腎症高血圧性腎症糖尿病性腎症観察期間(日)Logrank test p<0.001図4CKDの原因別の予後〔参考文献15)より引用改変〕