カレントテラピー 32-10 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.10 7955骨粗鬆症の診断と治療― 新たな展開―企画徳島大学藤井節郎記念医科学センター長松本俊夫骨粗鬆症の診断においては,骨強度の低下による易骨折性をいかに臨床的に評価し,治療を開始することで骨折を予防できるかが重要な課題である.骨強度は骨密度のみならず骨質の劣化によっても低下するが,骨質の臨床評価は困難なため既存骨折の有無を加味した原発性骨粗鬆症の診断基準が作成され,国際基準との整合性が取られた2012年版に改訂された.この診断基準とは別に,骨粗鬆症治療全体を包括し薬物治療開始基準を設定した『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン』が2006年に策定された後,新たな治療薬の開発が続いたことなどにより2011年に改訂された.続発性骨粗鬆症には,骨強度の低下が急速に進行したり原病の治療が困難なため,個々に応じた診断・治療法の策定が必要なものが多い.とりわけ,ステロイド性骨粗鬆症は骨強度の低下が急速に進行し早期から骨折が多発することから,慢性的ステロイド過剰状態が予想される場合には早期からの治療が必要である.このため『ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン』が2003年に策定され,この度新たに2013年度改訂版が作成された.そこでこれらの診断基準およびガイドラインについて概説いただくとともに,2型糖尿病をはじめとする生活習慣病,長期臥床・不動化,慢性閉塞性肺疾患(COPD)などに伴う骨粗鬆症の病態・診断と治療についても概説していただいた.さらに骨強度に影響を及ぼす骨質の変化として,骨構造および骨材質の劣化が重要であることが明らかとなっていることから,これらの評価法の現状と展望について述べていただいた.骨粗鬆症の病態解明と治療法の開発に欠かせない骨代謝研究には目覚ましい進歩がみられているが,その多くにわが国の研究者が先端的な貢献を果たしてきたのは注目に値する.そこで,骨芽細胞,破骨細胞の分化制御機構,および骨細胞による骨リモデリングの制御機構について,それぞれの研究をリードしてきた先生方に最新情報を概説していただいた.骨粗鬆症による椎体骨折は,強い痛みを伴いQOLや日常活動を大きく損なう場合があるのに加え,内臓機能の障害をもたらすことも多く生命予後をも悪化させることが知られている.いったん骨折すると元に戻すことはできないため,骨粗鬆症治療の主目的は骨折の防止である.しかし,椎体圧壊に対する椎体形成術により痛みや日常活動の改善が得られる場合があることから,椎体骨折後の治療選択肢のひとつとしてご紹介いただいた.また,骨粗鬆症に対して使用可能な薬物治療とその効果についての現状をまとめていただくとともに,カテプシンKや骨形成の促進に必須のWntシグナルに対する阻害因子スクレロスチンを標的とした新たに開発中の治療法についても触れていただいた.最新情報を網羅した本書が,骨粗鬆症の病態・診断や治療における疑問にお答えし,日々の診療や研究に少しでもお役に立てれば幸いである.エディトリアル