カレントテラピー 32-1 サンプル

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Current Therapy 2014 Vol.32 No.1 6767にA型に保険適用となったM2蛋白阻害薬)がインフルエンザ治療薬としてよく使用され,ザナミビルの使用率は低かった.しかし,2006年1月にA香港型が高率にアマンタジンに耐性化したことから,この薬を本症に使用しないように米国疾病管理予防センター(CDC)が勧告したこと8),また2006-07年シーズン途中に異常言動との関連が疑われたため,オセルタミビルが10代の未成年で使用困難になったことなどを契機にザナミビルの使用率が大幅に上がった.さらに,2008-09年シーズンにAソ連型のほぼ100%がオセルタミビルに耐性化したこともザナミビルに追い風となったが,オセルタミビル耐性Aソ連型自体はこの1シーズンのみで消滅し,2009-10年シーズン以降は全くみられていない9)~11).2009年にはブタ由来のH1N1pdmウイルスによるパンデミックが発生したが,このとき日本での死亡率は諸外国のなかで最も低く,その理由としてNA阻害薬の早期治療が注目された.諸外国では必ずしも医療アクセスがよくなく,また公的保険によるサポートがなされていない国が多いため,それまで日本ほどNA阻害薬が広く使用されていなかったが,このパンデミックを契機として諸外国においてもインフルエンザに対するNA阻害薬の治療が注目されている.その後2010年に入って新たなNA阻害薬としてペラミビルとラニナミビルが日本で保険適用となったが3)~5),他のほとんどの国ではまだこの2剤の使用は始まっていない.Ⅲ NA阻害薬の使用方法この4種類のNA阻害薬の投与経路,用法・用量,予防適用の有無を表1に示す.具体的な投与経路としては内服(オセルタミビル),吸入(ザナミビルとラニナミビル),点滴静注(ペラミビル)の3とおりあり,投与回数としては1日2回5日間(オセルタミビルとザナミビル)と,単回(1回:ペラミビルとラニナミビル)に分かれる.ただしペラミビルについては単回投与とはいうものの,重症例等では連日などの複数回投与も可能になっている.NA阻害薬は症状の発現から2日以内,あるいは可能な限り速やかに投与開始することが望ましい,とされている.なお因果関係は不明ではあるものの,異常行動による転落等の万が一の事故を防止するたHNOCH3OOONH2 H3CH3CH3COHHOHNH2HNH3COHOHHNOOONHザナミビル(吸入) オセルタミビル(内服)OH3CH3COH3CHOHOHHNH2N NHNHペラミビル(点滴注射)HNHNHOH3COCH3OHH2NHNOOOH3CCO2H ラニナミビル(吸入)図14種類のノイラミニダーゼ阻害薬の構造式