カレントテラピー 31-9 サンプル

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10 Current Therapy 2013 Vol.31 No.9896ことが期待されている.また,日常診療や特定健診・人間ドックなどの場で,糖尿病に至らない早期の段階で糖代謝異常を有する「糖尿病予備群」を拾い上げ,適切な生活習慣に関する情報提供や保健指導等を実施し,国全体として糖尿病の発症を予防することも重要である.Ⅱ 糖尿病の新しい診断基準2010の概要糖尿病の診断には慢性の高血糖状態の確認が不可欠である.1999年の診断基準では,初回の検査で血糖値の検査結果が「糖尿病型」〔空腹時血糖値≧126mg/dL,75g経口糖負荷試験(oral glucose tolerancetest:OGTT)2時間値≧200mg/dL,随時血糖値≧200mg/dLのいずれか〕である場合別の日に再検査を行い,再び「糖尿病型」であることを確認することによって,糖尿病と診断することを基本としていた4).一方,2010年の改訂では,この基本的な考え方を踏襲しつつ,「慢性の高血糖状態をより良く反映する指標であるHbA1cを糖尿病型の判定基準に取り入れる」という点に最大の特色がある.糖尿病とHbA1cに関するエビデンスが飛躍的に集積されてきたことや,日常臨床・健診における普及,測定精度の向上などを考慮したうえで,HbA1cをより積極的に糖尿病の診断に取り入れる判断に至った.具体的には,国際的に使用されているNational GlycohemoglobinStandardization Program(NGSP)値で表記されたHbA1c(NGSP)≧6.5%〔わが国でこれまで使用されてきたJapan Diabetes Society(JDS)値で表記されたHbA1c(JDS)≧6.1%〕であれば糖尿病型と判定する.さらに,血糖値とHbA1cをなるべく同日に測定することを推奨しており,血糖値とHbA1cの双方が糖尿病型であれば1回の検査で糖尿病と診断できる点にも特徴がある.新しい診断なし糖尿病型;血糖値(空腹時≧126mg/dL,OGTT2時間≧200mg/dL,随時≧200mg/dLのいずれか)HbA1c(NGSP) ≧6.5%[HbA1c(JDS) ≧6.1%]血糖値とHbA1cともに糖尿病型血糖値のみ糖尿病型HbA1cのみ糖尿病型・糖尿病の典型的症状・確実な糖尿病網膜症のいずれか糖尿病あり再検査再検査(血糖検査は必須)血糖値とHbA1cともに糖尿病型血糖値のみ糖尿病型HbA1cのみ糖尿病型いずれも糖尿病型でない血糖値とHbA1cともに糖尿病型血糖値のみ糖尿病型HbA1cのみ糖尿病型いずれも糖尿病型でないなるべく1カ月以内に糖尿病糖尿病疑い糖尿病糖尿病疑い3 ~ 6カ月以内に血糖値・HbA1cを再検査HbA1cと血糖値の同時測定を推奨HbA1cの反復検査では糖尿病と診断できない図3 糖尿病の臨床診断のフローチャート〔参考文献3),5)より引用改変〕