カレントテラピー 31-9 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.9 7893糖尿病― 深化する疾患コンセプト―企画独立行政法人国立国際医療研究センター糖尿病研究部長野田光彦「平成19年国民健康・栄養調査」において,わが国の「糖尿病が強く疑われる人」は約890万人と推定された.その総数(糖尿病有病者数に相当すると考えられる)は10年前の平成9年と比べて約1.3倍に増えており,わが国の人口構成の高齢化に伴って増加ペースの加速することが予測される.実際に,平成9年,14年,19年のデータに基づいて,この間の性別・年齢階級ごとの傾向が今後も続くと仮定して10年後(平成35年)の糖尿病有病者数を外挿すると,1,410万人にも達するものと推計される.このような状況下で,今年度から開始された「健康日本21(第2次)」では,糖尿病分野の目標4項目のうちの一つとして平成34年度の糖尿病有病者数を挙げ,これを1,000万人に留めることを目標としている.これは,生活習慣の改善を含めた取り組みによって平成19年時点での性別・年齢階級別有病率を維持することができれば,平成34年度の有病者数を約1,000万人への増加に抑制することができると推算されることから,この値を目標値としたものである.糖尿病は心血管疾患のリスクを高め,神経障害,網膜症,腎症,足病変といった合併症を併発するなどによって,生活の質(quality of life:QOL)ならびに社会経済的活力と社会保障資源に多大な影響を及ぼす.実際糖尿病は,現在,新規透析導入の最大の原因疾患であるとともに,成人中途失明の原因疾患としても第2位に位置しており,さらに,心筋梗塞や脳卒中のリスクを2~3倍増加させるとされている.のみならず,糖尿病に特徴的な,または糖尿病がリスク増加に大きく関与する上述のような合併症に加え,がん,認知症,うつ病,骨粗鬆症,歯周病といった,従来糖尿病との関連において取り上げられなかった,ないしはとらえにくかった,すなわち,糖尿病が疫学的には2倍に達しない程度までの―しかし,統計的にはリスク増加を有意に伴う―いわば関連疾患ないしは随伴疾患ともいうべき諸疾患群がクローズアップされてきている.一方,2型糖尿病の成因と病態に関しては,インスリンの産生・分泌から効果発現に至る直接のルートそのものに関与する要素とは別に,この経路を修飾する種々の重要な鍵―膵島細胞間クロストーク,脂肪毒性,腸内細菌叢など―が同定されつつある.本特集では上述の諸点に焦点を当てるとともに,さらには,不断に進展する糖尿病臨床の主テーマ―診断・治療技術―に対しても正面から切り込むべく企画をものした.すなわち,HbA1cの国際標準化,インクレチン関連薬,持続血糖モニター,肥満の外科治療という今日的テーマに対してである.本号の特集が糖尿病についての最新情報として,ひと味違った,深みのある読み物として読者諸賢のお役にたつことができれば,企画者として望外の喜びである.エディトリアル