カレントテラピー 31-9 サンプル

カレントテラピー 31-9 サンプル page 22/30

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 31-9 サンプル の電子ブックに掲載されている22ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 31-9 サンプル

88 Current Therapy 2013 Vol.31 No.99747.5g/日を毎食前に1カ月間投与し,投与前後でHOMA -R(インスリン抵抗性の指標)の変動について検討を加えた.牛車腎気丸投与後,空腹時血糖は180±5mg/dLから167±5mg/dLへと有意に低下し(p=0.005),HOMA -Rも4.78±0.37から4.02±0.25へと有意に低下したが(p=0.019),投与中止1カ月後には前値に復帰した(図3).さらに,2型糖尿病患者8例について,牛車腎気丸7.5g/日を毎食前に1カ月間投与し,投与前後で正常血糖クランプ法も実施した.MCRはlow -dose clamp(40mU/m2/分)では変化なかったが,high-dose clamp(400mU/m2/分)で7.9±0.8mg/kg/分から9.1±0.8mg/kg/分へと有意に(p=0.046)増加した(図4).牛車腎気丸は2型糖尿病患者のインスリン抵抗性を改善させ,糖尿病の病態改善,発症予防にも有効であると考えられた10).Ⅲ 肥満症を伴う2型糖尿病の処方肥満症を伴う2型糖尿病の治療は,西洋医学的には食事療法,運動療法が基本であるが,漢方ではカロリー制限などの食事療法はなく,「食養生」が治療の基本になる.西洋医学では中枢性に食欲を低下させる薬はマジンドールのみであるが,短期間での耐性発現があるため投与は3カ月が限度となっている.さらに,西洋医学における運動療法は,東洋医学的に「漢方医学的生活指導」がそれに相当する.運動だけでなく,生活リズムを正し,病気を予防する東洋医学の予防医学的な考え方は生活習慣病診療には大いに有効な方法である.ことに,メタボ対策において,東洋医学の「未病」の考え方が見直されている.メタボリックシンドロームのように,検査値が異常を示しながら自覚症状が現れていない場合は「未病」ととらえて対応することが可能である.一方,自覚症状があるにもかかわらず,検査値に異0N.S.Low-dose clamp High-dose clamp604020GIR(mg/kg/分)p<0.001 p<0.05Control GJG GJG+L-NMMAControl GJG図2コントロール群と7日間牛車腎気丸投与前後(STZ糖尿病ラット)におけるグルコース代謝率(MCR)の比較〔参考文献9)より引用改変〕01234567HOMA-R投与前投与中止1カ月後p=0.018投与後図3 牛車腎気丸投与前後におけるHOMA指数(HOMA-R)〔参考文献10)より引用改変〕