カレントテラピー 31-9 サンプル

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34 Current Therapy 2013 Vol.31 No.9920Ⅰ はじめにゲノムはからだの「設計図」であり,2003年には30億文字にわたるヒトゲノム配列の解読宣言がなされたが,当初の予想以上に多様性(個人差)が大きく,その役割の解明に興味がもたれている.ここではこうした「ゲノム多様性」を背景とした2型糖尿病の遺伝因子について,最近の知見を中心に概説する.Ⅱ 「ゲノム多様性」と多因子遺伝病かつてはゲノムや遺伝子の変化はまれと考えられていたが,一般集団のなかで多くの人が共有する「ゲノム多様性」が発見され,「突然変異」(mutation)に対して,「多型」(polymorphism)という概念が定着した.現在では,ゲノム多様性こそが,体格・外見や性格,能力を含め,個人のさまざまな特徴の基盤と考えられ,うち一部は病気のかかりやすさ(疾患感受性)や薬の効きやすさ(反応性)にも関係するとされる.糖尿病の90%以上を占める2型糖尿病は,遺伝と環境の双方が強く関与するが,遺伝的な体質が複数の遺伝子変化の総和として,かたちづくられる「多因子遺伝病」である.このタイプの遺伝因子は,疾患のかかりやすさに関係する「危険因子」であり,「疾患感受性遺伝子」とよばれ,その本体はSNP〔singlenucleotide polymorphism(s):一塩基多型〕を中心とした,集団内で広く共有されるゲノム多様性と考えられている.Ⅲ ゲノムワイド相関解析(GWAS)いわゆる「多因子遺伝病」の疾患感受性遺伝子の研究は,「ゲノムワイド相関解析(genome -wideゲノムと2型糖尿病-最近の知見-安田和基*2型糖尿病の遺伝因子は,「ゲノムワイド相関解析(genome-wide association study:GWAS)」により急速に解明が進み,わが国で同定されたKCNQ1 を含め,現在までに70個前後報告されている.いずれも頻度の高いSNP(common variants)であるが,単独での効果は弱く,現段階では疾患の予測力は不十分である.ヒトのゲノム多様性の知見も進歩しつつあり,今後はGWASのさらなる発展や,次世代シークエンサーを用いたいわゆるrare variantの探索などにより,新たな遺伝因子が同定されるとともに,それらの同定された遺伝因子の機能の解明や,エピジェネティクスを含めた環境因子との相互作用の解明,および臨床への応用,などが期待される.* 独立行政法人国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センター代謝疾患研究部部長糖尿病―深化する疾患コンセプト