カレントテラピー 31-9 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.9 13糖尿病―進む診断・治療技術899常が出産後いったん改善しても,一定期間後に糖尿病を発症するリスクが高いことにある.妊娠糖尿病を見逃さないようにするには,初診時およびインスリン抵抗性の高まる妊娠中期に随時血糖値検査を行い,100mg/dL以上の陽性者に対して75gOGTTを施行して診断することが重要である.妊娠糖尿病の定義は幾多の歴史的変遷を経たが,2008年に妊娠時の軽い高血糖が児に及ぼす影響に関する国際的な無作為比較試験である「Hyperglycemia and AdversePregnancy Outcome (HAPO)Study」の結果が発表され,これを踏まえ,2010年にInternational Associationof Diabetes and Pregnancy Study Groups(IADPSG)Consensus Panel,日本糖尿病・妊娠学会ならびに日本糖尿病学会が,新たな妊娠糖尿病の診断基準を発表した3), 5), 8).いずれも,妊娠糖尿病からは「妊娠前に診断された糖尿病」や「妊娠中に診断された明らかな糖尿病」を除外する考えは一致しており,75gOGTTにおける血糖値の基準値も同一妊娠前からすでに診断されている糖尿病preexisting diabetes妊娠中に診断された明らかな糖尿病overt diabetes in pregnancy妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus(GDM)妊娠中の糖代謝異常妊娠糖尿病の定義:妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常.妊娠糖尿病の診断基準:75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する.空腹時血糖値 ≧92mg/dL1時間値 ≧180mg/dL2時間値 ≧153mg/dLただし,図3に示す「臨床診断」において糖尿病と診断されるものは妊娠糖尿病から除外する.図4妊娠中の糖代謝異常の概念と妊娠糖尿病の定義・診断基準〔参考文献3),5)より引用改変〕●ただちに医療機関を受診させる場合空腹時血糖値またはHbA1cが受診勧奨判定値に該当するケースでは,糖尿病が強く疑われるので,ただちに医療機関を受診させる・空腹時血糖値≧126mg/dL・HbA1c(NGSP)≧6.5%[HbA1c(JDS)≧6.1%]●75gOGTTが推奨される場合(1)強く推奨されるケース現在糖尿病の疑いが否定できないグループ・空腹時血糖値が110~125mg/dL・随時血糖値が140~199mg/dL・HbA1c(NGSP)6.0~6.4%[ HbA1c(JDS)5.6~6.0%]*明らかな糖尿病の症状が存在するものを除く(2)行うことが望ましいケース糖尿病でなくとも将来糖尿病の発症リスクが高いグループ:高血圧・脂質異常症・肥満など動脈硬化のリスクをもつものは特に施行が望ましい・空腹時血糖値が100~109mg/dL・HbA1c(NGSP)5.6~5.9%[ HbA1c(JDS)5.2~5.5%]・上記を満たさなくても,濃厚な糖尿病の家族歴や肥満が存在するもの表3特定健診・人間ドックなどで判明した糖代謝異常に対する対応〔参考文献3),5)より引用改変〕