カレントテラピー 31-8 サンプル page 8/30
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カレントテラピー 31-8 サンプル
Current Therapy 2013 Vol.31 No.8 11画像診断技術の最近の話題779めに起こる現象であり,単一エネルギーのX線では起こらない.このような技術を使うと,画像再構築時に適切なX線エネルギーを選ぶことにより,目的に応じて背景組織と病変との間のコントラストを最適化することが可能となる.Dual energy CTを含む低管電圧CT撮影のデメリットは画像のノイズが増えることである.多くの場合,使用する電流を多くしてノイズの増加をある程度抑えているが,設定できる電流の量にも制約がある.このような場合,前述のIRの併用により解決することができる.Ⅳ 面検出器CT0.5mm幅320列の検出器を有する面検出器CTを用いると,頭蓋底部から頭頂部,あるいは心臓のほぼ全体を一回のスキャンで納めることができる.従来から検査時の被曝線量が多い傾向にあったCT冠動脈造影ではX線曝射時間が低下し,その結果として被曝低減が報告されている17).また,面検出器CTの利点のひとつは,特定の関心領域の多時相連続撮像である.頭部領域では動脈相から静脈相にかけての多時相のCT angiographyと脳灌流情報を一度に得ることができ,さらに胸部領域では呼吸に応じた気道の形態変化を評価することができる.これらのCTによる時間軸を含めた空間データ(4D -CTとよばれることが多い)により,機能的評価が可能となり,今後,さまざまな臓器や病態への応用が期待されるが,連続撮像による被曝の増加を適切にコントロールしながら行う必要がある18), 19).Ⅴ おわりに近年のX線CTの技術の進歩とその臨床応用について概説した.臨床あるいは社会的な要請によるCT技術のさらなる発展へのモチベーションと,それに応える形での技術開発や臨床応用がなされてきた.これらの近年に導入されたCT技術には確かにメリットがある一方,性能や撮像技術がすでにかなり成熟している状況下で,既存の機種を置き換えるまでの決定的な推進力とはなり得ていない現状や,まだまだ解決すべき課題も有している.むしろ,より実際的には,現在手持ちのCT機種で診断能を担保しながら適切に被曝を低減することがはるかに重要である.各施設の実際に合わせて,医師や技師が協力して,検査に伴ったX線被曝量を適切にコントロールできる体制やCT撮像プロトコールを日頃からつくり上げておくことが理想的である.参考文献1) 赤羽正章, 大友 邦:画像再構成法の違いによる特徴と低線量撮影. 画像診断 32:552-559, 20122) Katsura M, Matsuda I, Akahane M, et al:Model-based iterativereconstruction technique for radiation dose reduction inchest CT:comparison with the adaptive statistical iterativereconstruction technique. Eur Radiol 22:1613-1623, 20123) Korn A, Fenchel M, Bender B, et al:Iterative reconstructionin head CT:image quality of routine and low-dose protocolsin comparison with standard filtered back-projection. AJNRAm J Neuroradiol 33:218-224, 20124) Kulkarni NM, Uppot RN, Eisner BH, et al:Radiation dosereduction at multidetector CT with adaptive statistical iterativereconstruction for evaluation of urolithiasis:how lowcan we go? Radiology 265:158-166, 20125) Leipsic J, Labounty TM, Heilbron B, et al:Estimated radiationdose reduction using adaptive statistical iterative reconstructionin coronary CT angiography:the ERASIR study.AJR Am J Roentgenol 195:655-660, 20106) Matsuda I, Hanaoka S, Akahane M, et al:Adaptive statisticaliterative reconstruction for volume-rendered computedtomography portovenography:improvement of image quality.Jpn J Radiol 28:700-706, 20107) Machida H, Takeuchi H, Tanaka I, et al:Improved delineationof arteries in the posterior fossa of the brain by modelbasediterative reconstruction in volume -rendered 3D CTangiography. AJNR Am J Neuroradiol, 2013(Epub ahead ofprint)8) Utsunomiya D, Weigold WG, Weissman G, et al:Effect ofhybrid iterative reconstruction technique on quantitative andqualitative image analysis at 256-slice prospective gatingcardiac CT. Eur Radiol 22:1287-1294, 20129) Suzuki S, Machida H, Tanaka I, et al:Vascular diametermeasurement in CT angiography:comparison of model -based iterative reconstruction and standard filtered backprojection algorithms in vitro. AJR Am J Roentgenol 200:652-657, 201310) 宮西佐代子:腹部領域におけるDual Energy イメージングの有用性. インナービジョン 23:8-9, 200811) Henzler T, Fink C, Schoenberg SO, et al:Dual-energy CT:radiation dose aspects. AJR Am J Roentgenol 199:S16-S25,2012