カレントテラピー 31-8 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.8 95治療薬解説863くは15mm以上13),14),②腫瘍内脂肪の存在10),などがある.また,多血化までの期間は一定ではないが,1年後に3.2%14)~18.4%12)と報告されている.こういった知見を基に乏血性かつ肝細胞造影相で低信号を呈する腫瘍の経過観察を行うことで,多血化の時点で早期の治療が可能である.図3に7カ月の経過で多血化した腫瘍を提示した.病変の大きさは変化がなく,動脈血流の増加を認めている.Ⅳ 転移性肝腫瘍への応用転移性肝腫瘍に対するEOB造影MRIの有用性は確立されている.その理由としては,多くの症例で,肝機能が正常なため肝臓の造影効果が良好である一方で,転移性腫瘍は肝機能をもたないため肝細胞造影相で低信号となり,腫瘍と肝のコントラストが良好なことに起因する.特に大腸癌では,転移が全身に拡がる前に肝内に一定期間とどまる段階があると考えられており,多発肝転移でも切除可能な場合は腫瘍数にこだわらず多数の転移巣の摘出をする場合もあり,転移の部位,個数の把握が大切である.図4に示したように横行結腸癌の多発肝転移の症例では,MRIの拡散強調像とEOB造影MRIの肝細胞造影相で4つの転移巣を同定し摘出した.Ⅴ おわりに肝細胞癌治療におけるGd -EOB -DTPAの有用性について述べた.Gd -EOB -DTPAは,通常の細胞外液分布造影剤の性質に加え,肝細胞に取り込まれacbd図3乏血性腫瘍(異型結節)の多血化a,b:EOB造影MRI(a:肝細胞造影相,b:dynamicMRI早期相)c,d:7カ月後のEOB造影MRI(c:肝細胞造影相,d:dynamic MRI早期相)C型肝炎で経過観察中にaで低信号,bで乏血性の結節を認めた.7カ月後には結節の大きさに変化はないcが,多血性dに変化しており,RFA治療を施行した.