カレントテラピー 31-8 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.8 91代替療法859粘膜炎は同程度であった.そして局所制御率には両群間で有意な差を認めることができなかった.この結果を受け,現在欧米では頭頸部癌の動注化学療法を取り巻く空気は厳しいものとなりつつある.しかしながらこの報告では,再発の多い下咽頭癌が18%,両側から腫瘍に供血されている症例が58%もあったこと,また選択的なカテーテル留置ができず外頸動脈本幹から動注を行ってしまった例が多かったこと,つまり適応や手技に問題があったことが考察されている.前述の適応をよく検討したうえでのサブ解析では動注群のほうが有意に高い局所制御率を示しており,この結果はわれわれによい教訓を残してくれたともいえる.現在本邦では動注化学療法のメリットが最大限発揮できるよい適応基準と,有害事象を可能な限り低減し得る治療プロトコールの標準化を急ぐべく,Japan Interventional Radiology in Oncology StudyGroup(JIVROSG)および日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group:JCOG)で上顎癌に対するRADPLATの多施設共同試験を準備・進行しつつあり,これらを通して一部の動注化学療法ではプロトコールの標準化が進んでいくものと期待されている.参考文献1)Klopp CT, Alford TC, Bateman J, et al:Fractionated intraarterialcancer chemotherapy with methyl bis aimine hydrochloride;a preliminary report. Ann Surg 132:811-832, 19502)Robbins KT, Fontanesi J, Wong FS, et al:A novel organpreservation protocol for advanced carcinoma of the larynxand pharynx. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 122:853-857, 19963)本間明宏:超選択的動注療法. Pharma Medica 29:35-38,20114)Homma A, Oridate N, Suzuki F, et al:Superselective highdosecisplatin infusion with concomitant radiotherapy inpatients with advanced cancer of the nasal cavity and paranasalsinuses:a single institution experience. Cancer 115:4705-4714, 20095)多田信平(監),尾尻博也,酒井 修(編):頭頸部のCT・MRI第2版. メディカル・サイエンス・インターナショナル, 東京,20126)Rasch C, Balm A, Kroger R, et al:Intra -arterial VersusIntravenous Chemoradiation for Advanced Head and NeckCancer, Early Results of a Phase Ⅲ Trial. Prevention andTreatment of Head and Neck Cancer Meeting Program,American Head And Neck Society Annual Meeting andResearch Workshop on the Biology, 2006 Aug 17- 20;Chicago:2006. p847)厚生労働科学研究「進行頭頸部がんに対する化学放射線療法を中心とした集学的治療に関する研究」班;「平成24年度 頭頸部がんに対する超選択的動注化学療法の実技」講演資料, 2012表 上顎洞癌の治療成績報告者/施設(対象年)手法SCC T3T4T4a T4bCantu G(ミラノ)(2008) 主に手術+RT45.2%(n=156)50.5%(n=37)35.9%(n=206)Bhattacharyya N(2003)全米のデータベース(1988~1998)29.3%(n=401)39.8%(n=169)28.9%(n=335)Hinerman RW(フロリダ)(2010)RT:59%,手術+RT:41%(1969~2002)30%(n=54)Bristol IJ(MD Anderson)(2007)手術→RT(1969~2002)49%(n=89)57%(n=47)50%(n=77)国立がん研究センター(2009)浅側頭動脈動注+RT→全摘62.2%(n=40)59.3%(n=59)33.3%(n=12)自治医科大学(2009)浅側頭動脈動注+RT→保存的手術73% 78% 61% 56%山形大学(2011)超選択的動注+RT→手術77.8%(n=33)84.6%(n=13)73.9%(n=23)東北大学(2009)超選択的動注+RT(→手術)66.1%68%(n=36)66%(n=29)北海道大学(2011)超選択的動注+RTのみ(1999~2010)73.3%(n=48)70%(n=13)83.3%(n=23)55.0%(n=13)〔参考文献7)より引用改変〕