カレントテラピー 31-8 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.8 89代替療法857養動脈が4本存在すると仮定した場合,初回は2時間,2回目以降は1時間~1時間半にわたり血管撮影室を占有すると考えてよい.外頸動脈系は解剖学的変異に富んでいるため,術前に3D -CTAを用いて血管解剖の詳細な把握を行っておくことが手技時間の大幅な短縮に繋がる.IVR手技そのものは別段高度なテクニックを要さないので,専門医あるいはそれに準ずる術者であれば問題なく遂行可能である.ただし,頭頸部の血管支配とりわけ解剖学的変異に関する知識と,脳神経領域のIVRで必須とされる,合併症予防のための知識は求められる.Seldinger法では,しばしばカテーテル操作による脳梗塞の危険性が指摘されるが,これは動注を行う術者の技量に依存し,頭頸部の動注に習熟しているもの,頭蓋内の血管内治療を専門とするものであれば0.1%前後あるいはそれ以下である.当院では今まで,鼻副鼻腔癌では1例も発生事例がなく,他の部位を含めると200例800セッション近くを行っているがそれでも発症は1例のみであり,一過性で後遺症もなく治療を完遂している.治療関連死も現在までない.Ⅵ 成績2000年のRobbinsらの報告では213例のⅢ(28.6%)からⅣ期(71.4%)の頭頸部癌の患者に対し,シスプラチン150mg/m2,毎週1回,計4回のRADPLATで完全奏効(CR)率は80%,局所制御率74.3%,5年粗生存率38.3%,疾患特異性生存率では53.6%としている.2011年の当院のHommaらの報告では60例のT3~T4鼻副鼻腔癌に対しRADPLATに準じた前述の治療プロトコールを施行し,治療完遂率95%(57/60例),粗生存率は全体で72.6%,T3~T4a(41例) で79.6%,T4b(19例)で56.9%,局所制御率は全体で76.0%,T3~T4aで79.3%,T4bで68.2%であった.周術期の重篤な合併症はなく,晩期障害は骨壊死が7例,脳壊死が4例,眼科的合併症が14例であった4).奏効例を図3,4に示す.浅側頭動脈からの逆行性動注化学療法においても2011年のMitsudoらの報告では上顎癌,鼻腔癌を含む30例のT3~T4a進行癌に対しシスプラチンとドセタキセルを用いた持続的連日動注および放射線治療の併用を行い,5年生存率70.2%,局所制御率73.0%を得ている.また,grade 3あるいはgrade 4の粘膜炎,およびgrade 3嚥下障害が66.7%に認められている5).国内外各施設の主な治療成績を表に示す.図3右上顎洞癌(54歳男性,T4aN1)に対する超選択的動注+70Gy/35fr左:治療前右:治療後3年6カ月NED