カレントテラピー 31-8 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.8 37画像診断・IVRの最近の知見805の撮像プロトコールのなかでは最も高い画像解像度を有している.また,本邦で急速に普及が進んでいる3T MRI装置のS/N比は1.5Tの約2倍であるため,FIESTA法の画質は明らかに改善する.以上の特徴から,FIESTA法は脳脊髄液に囲まれた微細構造の描出に優れている.1 聴神経腫瘍聴神経の神経鞘におけるSchwann細胞由来の内耳道から小脳橋角部に発生する良性腫瘍で,内耳道孔付近で好発する.その際FIESTAは,聴神経腫瘍の存在診断や聴神経腫瘍と第Ⅶ,Ⅷ脳神経との位置関係の把握に有用である(図3).2 類上皮腫,類皮腫,クモ膜嚢胞通常のT2強調画像では,時に脳脊髄液と嚢胞性腫瘍との境界がはっきりせず,病変の存在診断が難しい.FIESTAでは病変の皮膜が描出でき,存在診断に有用である.また,脳槽内の腫瘍の手術では,進展範囲,脳神経との位置関係などが重要で,その描出にFIESTAは有用である.Ⅴ 造影FIESTA法FIESTA法やconstructive interference in steadystate(CISS)法は複数のエコーの信号を集めたものであり,そのコントラストは複雑である.これらのシーケンスでは,造影T1強調画像には及ばないものの造影効果があり,脳実質以外の腫瘍性病変において,腫瘍と脳神経との解剖学的な位置関係や腫瘍の進展形態などの有用な情報を得ることができる(図4).1 髄膜腫髄膜腫手術における硬膜付着部の処理は予後の観点から重要である5).特に,頭蓋底に発生する髄膜腫は,周囲の神経,血管などの重要な構造物を巻き込むことが多く,腫瘍を剥離する際に困難な場合がある.術前画像情報として重要なものに,腫瘍と硬膜の癒着の程度やその部位・範囲などがあるが,dural -tail signなど従来のMR画像所見では十分な情報が得られない6).そこでわれわれは,硬膜付着部の状態について手術所見と造影FIESTA法を比較した.結果として,造影FIESTA法を使用すること図3 聴神経腫瘍FIESTAで左内耳道内に小さな腫瘤(矢頭)を認め,顔面神経(矢印)を前方に圧排している.図4 小脳橋角部類上皮腫疑い造影FIESTA法で腫瘍内部に左三叉神経が貫通しているのが明瞭に描出されている(矢印).