カレントテラピー 31-8 サンプル

カレントテラピー 31-8 サンプル page 11/30

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 31-8 サンプル の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 31-8 サンプル

Current Therapy 2013 Vol.31 No.8 35803る利点がある.画像処理は比較的単純で,前述した造影剤を使用した灌流画像とは異なり,すぐに灌流が評価できるなど利便性はきわめて大きい.3T -MRIの普及で,S/N比の向上が期待されこの撮像法が脚光を浴びつつある.しかし,血流に信号を与えてから測定するまでのtransit timeの影響を受けやすく,測定パラメータの設定や流速の変化によりコントラストが変化する場合があり,この課題の解決が急がれている.1 グリオーマ脳腫瘍においてはCBVが重要であり,CBVマップ上で定性的に評価したり,正常白質とのCBV比(rCBV)を用いて定量的に解析したりする.また,rCBVは腫瘍血管床の多寡とよく相関することがわかっている1).グリオーマでは,一般にグレードが上がるにつれて腫瘍の最大局所脳血流量のrCBVが増加し,膠芽腫ではrCBVが高値を示すことが多い(図1).退形成性乏突起膠腫は,一般に退形成性星細胞腫より予後が良く,化学療法の感受性が高い.このため,両者の鑑別は治療方針を決めるうえで重要であり,最近MR灌流画像を用いた両者の鑑別が試みられている2).2 悪性リンパ腫悪性リンパ腫ではrCBVが一般に増加しないため,グリオーマとの鑑別に有用である.3 脳梗塞CBV,MTT,CBF,ピーク到達時間(time-to-peak)などのパラメータによる表示が行われ,超急性期脳梗塞の病態を把握するうえで豊富な情報となる.一般に,閉塞動脈の灌流領域ではMTTの延長,CBVの低下ないし維持,CBFの低下がみられる.急性期脳梗塞にMR灌流画像を追加することにより,DWI所見との解離(diffusion -perfusion mismatch:DPM)から虚血ペナンブラの領域を評価することが可能となる.一般にDWIの高信号が細胞性浮腫を反映しており,壊死に陥った虚血中心部(core)に相当する.低灌流域がDWIでの高信号域よりも広いことが多く,この部位がDPMである.DPMが広いほうが血栓溶解療法のより適応と考えられている.最近では,このDPMを基準に入れた画像評価がt -PA静注療法の予後予測に有効であるという報告も散見される.Ⅲ MR-DSA(digital subtraction angiography)MR-DSAは,造影剤を急速静注し連続撮像を行い,造影剤到達前の画像を差分することで血管系のみを描出する方法である.3次元撮像のため,至適造影タイミングの画像について多方向からの観察が可能A B図1膠芽腫造影T1強調画像(A)で右頭頂葉にリング状増強効果を呈す腫瘤を認める(矢印).灌流画像(CBVマップ)(B)では,増強部分が著明なCBV高値を示しており(矢印),膠芽腫に典型的な所見である.