カレントテラピー 31-8 サンプル

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34 Current Therapy 2013 Vol.31 No.8802Ⅰ はじめに脳脊髄領域の画像診断としてCT,MRI,SPECT,PET,血管造影などがあるが,本稿では,最近用いられるようになったMRIの撮像法,灌流画像,FIESTA,MR -DSA,拡散強調画像,拡散テンソル画像を取り上げ,その手法と適応について述べる.Ⅱ 灌流画像脳のMR灌流画像は,毛細血管レベルでの血流動態の画像化を目的とした撮像法であり,造影剤を使用するdynamic susceptibility contrast(DSC)法と,使用しないarterial spin labeling(ASL)法に大きく分けられる.臨床で広く行われているのは造影剤を用いるDSC法で,ガドリニウム(gadolinium:Gd)製剤を急速静注し,組織を灌流する際のT2*効果による信号低下を高速撮像法で連続撮像して測定する.これで得られた時間信号強度曲線から脳血液量(cerebralblood volume:CBV),平均通過時間(meantransit time:MTT),脳血流量(cerebral bloodflow:CBF) などが算出される.DSC法にはSE-EPI法とGRE-EPI法があり,両者の最も大きな違いは血管径に対する感受性である.GRE法は比較的太い血管の影響を受け,信号変化率が高いが,磁化率アーチファクトによる画像の歪みがやや強くなる.SE法は毛細血管の影響を強く受け,実際の脳組織への毛細血管による灌流を反映していると考えられるが,造影剤による信号変化は小さい.一方ASL法は,動脈血中のプロトンを電磁気的にラベルし,その脳組織内への流入を観察することで灌流像を得る手法である.本法では造影剤を使用しないため,より非侵襲的であり,繰り返し施行でき脳脊髄森谷淳二*1・掛田伸吾*2・興梠征典*3・山本淳考*4・西澤 茂*5MR灌流画像は造影剤を使用するdynamic susceptibility contrast(DSC)法と,使用しないarterial spin labeling(ASL)法に大きく分けられる.脳腫瘍においては脳血液量(cerebralblood volume:CBV)が重要であり,正常白質とのCBV比を用いて定量的に解析する.MR-DSAは,造影剤を急速静注し連続撮像を行う.多方向からの観察が可能であるため,脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻の評価などに有用である.また,fast imaging employing steady stateacquisition(FIESTA)法は脳脊髄液に囲まれた微細構造の描出に優れている.造影FIESTA法は,造影T1強調画像には及ばないものの造影効果があり,脳実質以外の腫瘍性病変において,腫瘍と脳神経との解剖学的位置関係や腫瘍の進展形態などの有用な情報を得ることができる.*1 産業医科大学放射線科助教*2 産業医科大学放射線科講師*3 産業医科大学放射線科教授*4 産業医科大学脳神経外科准教授*5 産業医科大学脳神経外科教授画像診断の進歩―最新技術とその臨床応用