カレントテラピー 31-7 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.7 71737Ⅰ はじめに原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)は病変の存在部位により,大きく2つに分けられる.片側性病変と両側性病変である.米国内分泌学会(ENDO)および日本内分泌学会のガイドラインでは,片側性病変に対しては腹腔鏡を用いた患側の副腎摘出術が標準治療として推奨され,一方,両側性病変に対してはスピロノラクトン(SP)やエプレレノン(EP)などのアルドステロンブロッカーを主体とした薬物療法が推奨されている.また,遺伝性のグルココルチコイド奏効性アルドステロン症(家族性アルドステロン症I型)では,デキサメタゾンによる薬物療法が選択される.薬物療法に関しての詳細は,次の治療薬解説―原発性アルドステロン症の薬物治療の章で解説されるので,この章では,主に片側性副腎病変に対する標準的な腹腔鏡下副腎摘出術以外の代替療法について概説する.Ⅱ 一般的な代替療法一般的に代替療法とは,漢方,サプリメント,鍼灸,指圧,マッサージ,アロマセラピーなどを指すことが多いが,PAにおいてこの種の代替療法の有効性に関する報告はPubMedを検索する限りほとんどない.唯一,1985年に高血圧患者で鍼治療により血中アルドステロンレベルが低下したとする報告があるが,エビデンスに乏しく,また,PA患者においても,有効かどうかは不明である.最近,欧米などの先進国においては代替医療の利用頻度が急速に非手術的治療法米田 隆*一般的に代替療法とは漢方,サプリメント,鍼灸,指圧,マッサージ,アロマセラピーなどを指すが,原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)に対して,このような治療法の報告はない.ガイドラインでは,両側性病変にはアルドステロンブロッカーを用いた薬物療法を,片側性病変に対しては,腹腔鏡下片側副腎摘出を推奨している.しかし,高齢化が進む国内では片側性病変に対する副腎摘出術が適さない,あるいは希望されない症例が増加することが予想され,代替治療が必要となってくる.超音波やCTガイド下の経皮的なラジオ波による腫瘍焼灼やエタノール注入による腫瘍のアブレーション,経カテーテル的アブレーションは副腎摘出術より,その有用性がまだ不確かだが,低侵襲である.また,アルドステロンブロッカーによる薬物療法も降圧効果および臓器保護効果以外に,症例によっては寛解をきたす可能性がある.これらの治療法は,腹腔鏡下片側性副腎摘出の代替治療となり得る.* 金沢大学附属病院内分泌代謝内科助教原発性アルドステロン症―診断と治療の新展開